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ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
2024.05.09 Thu
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2010.04.30 Fri
この筆者の本は読んでいて、文体も内容も好きな感じのものが多かったのだが
これは受け入れ辛かった。
正直に言えば、何を言いたいものだろうかと悩む内容で
どうもジャンル的にはホラーと言った感じで
『現代の神話』にはとても思えない。

ホラー小説と捉えるのなら、興味深い描写や設定はいくつかあったが
フィクションの中でも子供にこんな言動をさせるのは個人的には不快だった。

印象に残ったのは函館に関する描写で
『でもあそこは、ローマと同じさ。遠くから見た分には、美しいけれど、住むには活力がなさすぎる。
ふらっと旅行しに来るにはいいけれど、そこで暮らす街としては魅力はないな。』。
ローマについてはよく知らないので同じかどうかは兎も角として
函館というのはそういう町だと思う。
とても美しいけれど、住むには何もなく、くすんでいる町だ。
この表現は秀逸だなと感じた。

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2010.04.19 Mon
この巻で、第二部完結とのこと。
正直、個人的には非常に中途半端で
尻切れトンボのように感じましたが
次巻からは本筋の学園モノに戻るらしいので
そこは期待できるかなと思いました。

前から言われていることですが
やはりメディアミックスや外伝の出し過ぎで
本編だけ読んでいるファンには分かり辛く
不親切な点が多いのが残念。
展開が欲張りすぎというか、大きくし過ぎていて
収集に四苦八苦している印象です。

始めの頃は面白かったのですが
幼馴染が実は物語のキーパーソン
というある意味王道の設定を持ってこられるのはまだしも
それが女で片思いの相手となると
話が違ってきます。
レイフォンに片思いをしているツェルニの女性陣が
とんだ噛ませ犬になってしまいます。
学園モノからも離れてしまいましたし。


ややネタばれですが
フェリとニーナの会話のシーンは好きでした。
ナッキたちのようなのではなく
相手の人格や実力に対する信用がきちんとある
シビアな側面のある女同士の友情というのは
あまり描かれなかった部分だと思います。

また、シャーニッドの本心もほの見えたのも
良かったです。

個人的にリーリンには共感できないし
幼馴染が戻ってきてさぁ恋愛模様がどうなるのか
と見せかけておいて壮大な展開をしてしまい
ここで第二部完ということなので
ならばもううリーリンには出てきてほしくないなぁと思うのですが
(少なくともレイフォンを巡る恋愛のライバルとしては)
どうなのでしょう。

ここまでの展開は全般的に
ファンの方の評価も低いように見受けられますが
第三部の第一巻である次巻を読んでの判断
ということになるでしょうか。

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2010.04.11 Sun
P.178 のLaika Came Back 目当てで購入。
正直、インタビュアーの質問内容には首を傾げる部分が多かった。
車谷さんが遠回りをしているとも、右往左往しているとも思えない。本人が言っている通り、思うとおりに行動しているだけなのだと思う。
そしてまっとうなファンなら、それがわかっている。
だからこそ、彼の幸せを願い、信じ、待っていた。

動物愛護団体に協力し、自分のライブでチラシを配る許可を出し、売り上げを寄付した。
それくらいなら多くの著名人がやっていそうだ。
しかし車谷さんは、夏の野外ライブで自分の出番の合間に
団体のブースへやってきて、スタッフと一緒に署名を呼びかけた。

孤児院でギターを教えたときも、子供たちに混じって
一緒に箒をとり掃除当番までやっていた。

記事やニュースにならないところでも、彼は変わらない。
偽善やポーズでやっていることなら、こうはいかない。
自分の思うとおりにやっているだけなのだ。


カンボジアの子供たちの前でギターを弾くことと
今まで日本でやってきたことに違いはあったか
という問いに対して、
「ない」
と答えた車谷さん。
ここで「違った、あの子達のほうが良かった」
などと答えていたら、私はがっかりしたと思う。
さすがくるちゃんだな、と思う。

やはり変わっていないのだと。

今後の活動もますます楽しみ。
そしてまた、私は私で、それを楽しみにするばかりではなく
自分の出来ることをやっていかなくてはと思う。

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2010.04.01 Thu
移動時間に限っているとはいえ、少ないなぁ…。
もっとゆっくり本に向きあいたいです。

sayの本棚
2010年03月
アイテム数:7
ファイナルファンタジーXIII
スクウェア・エニックス
03月06日{book['rank']

ランチの女王 DVD-BOX
フジテレビ
03月09日{book['rank']

聖女の救済
東野 圭吾
03月16日{book['rank']

床下の小人たち (岩波少年文庫)
メアリー ノートン
03月20日{book['rank']

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2010.03.20 Sat
ゴア・ヴァービンスキー
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2006-12-06

パロディだったり、ディズニーランドのパレードだったりで
なんとなく知ってはいたジャック・スパロウ。
あまり期待せずに見たが中々面白く
ジャックのキャラクターも飄々として愉快で
非常に魅力があり、成程真似したがる訳だ、と納得。

指輪物語のレゴラスがはまり役過ぎたオーランド・ブルームも
シリーズでこういった猛々しい役を得られて
良かったのではないかと思う。

CG等技術が向上しており、ファンタジックな演出も
非常にリアルで見ていて面白い。

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2010.03.20 Sat
メアリー ノートン
岩波書店
発売日:2000-09

はじめの方は中々わくわくして読んでいた。
人間がしばしば失せ物をするのは
小人が持って行ってしまうから、というのは
古今東西の様々な迷信や伝承で言われていることで
設定として目新しくはなくとも
そう想像することは非常に胸躍る。

ただこの作品では、小人たちは人間から『借り物』をして暮らしており
人間とは自分たちの生活の為に『貸す』為に存在している
と思っている。
そのあたりの小人と人間とのやりとりが
微笑ましいというよりはどちらかと言うとエグい。

人間から隠れて生活している小人が
人間に存在がばれてしまい
小人を迫害する人間もいれば、生活を助けてくれる人間もいる。

これもこの手の物語のセオリーともいえる展開。

この作品も例外ではないのだが
小人たちにイマイチ好感が持てないし
結局どうなったのかというはっきりとした終わりもない。
小人に会ったことがある人の知り合いが
小人のことを話して聞かせるというはじまりで
中間は小人アリエッティの視点で、
再び現在の話聞かせの視点に戻ってくるのだが
そのラストの”オチ”が、面白いというよりは
個人的に『だったとしたらむかつく』ものだった。

小人が出てくるファンタジーならば
私はエンデ氏の『はてしない物語』や
日本の話なら佐藤さとる氏の『コロボックル物語』シリーズをお薦めしたい。

また、2010年のジブリ映画の原作として紹介されている本作だが
このような内容ならば敢えて原作を持ってこずとも
オリジナル設定で話を作っても良かったのではと思う。
結局例によって駿カラーを出し過ぎて、原作の影も形もなくなるのだろうし。

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2010.03.19 Fri
髪を切りたい、と思ったときに、情報サイトからネットで24時間、
明日の予約も取れるお店で検索。
ジュエルボックスを知らなかったのでやや迷いつつ到着。
シンプルで明るい、綺麗な店内。
予約をしていても待たされることが多い中、殆ど待たされず席に通され
る。
事前のカウンセリングから、カットを担当して下さるご本人がしてくださ
り、説明も二度手間にならず面倒がない。

印象的だったのは、真っ白な制服。
お洒落な私服勤務の美容院が多い気がするが、ここは作業着のようやパ
ジャマのような、ラフな感じの揃いの服。
衛生面でも、スタッフさんにとっても良いのではと思った。

対応がとても丁寧。
特に、カットを担当して下さった方は恐らくアシスタントさんかと思われ
るスタッフさんにも敬語で支持を出していたのが印象的。
安心感があり、信頼してお任せ出来た。

こちらの要望通りにカットしてもらえたし、アドバイスも的確で親身に話
を聞いてもらえた。

また利用しようと思う。

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2010.03.16 Tue
東野 圭吾
文藝春秋
発売日:2008-10-23

『容疑者Xの献身』という、傑作でありつつも
長編かつ重い話を書いてしまうと
初期の『探偵ガリレオ』のような、歯切れのよい作品は
シリーズとしても書きづらくはなってしまうのだろう。

「『苦悩』しているのは作者では」
などと揶揄されていた前作に引き続き、
湯川は捜査から距離を置いているスタンス。
が、「恋をしている」という言葉に興味を覚え
今回もつい捜査に協力する流れは
やや初期の雰囲気に戻しつつあるのかと感じた。
作中でiPodが出てくるシーンなど、随分と思いきったな
と苦笑してしまうほど。

正直、トリックは兎も角
そこに至るまでの犯人の友人関係を含めた
複雑な胸中については説得力が足りないように思えたが
ラストの東野圭吾が仕掛けるトリックは
すっかり謎が解けたと思い安心していた足元を掬われた感じで
意外で非常に面白かった。
個人的にこういう"オチ"は非常に好きだった。

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2010.03.14 Sun

3月13日、18時の回を観に行ってきた。
今回のハーフタイムシアターは、演目の順番が日によって交互に変わった
今までの形と違って
常に、はじめに『ミス・ダンデライオン』、次に『南十字星駅で』という順序で上演されている。
この順序が非常に大事なのだ。
なんと言っても『南十字星駅で』は、クロノスシリーズの完結編
と言える集大成のお話なのだから。

それぞれのストーリーについてはこちら。
http://www.caramelbox.com/stage/halftime2010/index2.html


まず、『ミス・ダンデライオン』。
医者になった鈴谷樹里が、自分が11歳だった夏へ跳ぶ。
恋したヒー兄ちゃんの命を救うために。

自分はあしあな/ミスの時も勿論観に来ているので
ミスの内容や演出についてはある程度知ってはいる。

それでも、何度観ても凄いとまず思うのは、さつきさんが11歳の頃の自分のことを
説明しているシーン。
「11歳の樹里に声をかけてきた看護士がいた」
と言った後、そのままさつきさんが看護士として樹里に話しかける。

よくある演劇の『嘘』かと思いきや…

話が進むにつれ真相がわかってくるのが凄い。


以降ネタバレあり。


ヒー兄ちゃんにとって、樹里は自分を助けてくれた女性だけれど
11歳のこの前まで話を語り聞かせていたあの少女だということも分かっている。
彼の樹里への思いは、単なる恋愛としての愛だけではないはず。
樹里の正体がわかってからヒー兄ちゃんが樹里を抱きしめるシーンも
最後に頭を撫でるシーンも
彼の深い愛情を感じてたまらなく好きだ。

さつきさんが終演後明かしたところによると
ご本人も似たような別れを経験されたことがあるとのことで
樹里が未来に弾き飛ばされるときヒー兄ちゃんに
「作家になって」と言う台詞には思いがこもるそう。
私もこのシーンは胸が押し潰されそうになるシーンのひとつ。

私の友人に作家がいるのだが
彼が作家になったのも、彼女との約束だったからだ。
「絶対作家になって」。
目の前で事故で亡くしてしまった彼女との約束を守り
彼は若くして受賞しプロの作家としての道を歩んでいる。
彼を見ていて私が思いを寄せるのは、ヒー兄ちゃん。

物語は樹里の視点で描かれ、樹里にだけ思い入れて観てしまいがちだが
一目惚れした女性が可愛がっていた樹里の成長した姿で
3日しか一緒に過ごすことが出来ない。
ヒー兄ちゃんにとっても、悲しい恋の物語だ。

未来に弾き飛ばされ、いつか帰ってくる樹里を待っていたヒー兄ちゃん。
野方の予測した日付を過ぎても戻ってこない樹里。
もしもこのまま二度と出会えなかったら?
そう不安を覚えたこともあっただろう。
それでもいつか出会える日の為に、ヒー兄ちゃんは約束を果たした。

ふたりの再会のシーンで、ヒー兄ちゃんが訪ねて来て
樹里が振り返り驚くシーンは何度見ても良い。
観客的には
その時のヒー兄ちゃんは格別に恰好良く、若くなければならない
のだけれど、この達也さんは本当に格別に恰好良くて、若々しいのだ。

2006年に上演された『ミス』の再演とあって
達也さんとさつきさんは「(あのときより)老けたね」といわれないよう
努力されたとのことで
加藤さんのブログなどでも「前より若返ってる」と噂は聞いていたけれど
実際に拝見しても、さつきさん扮する樹里は可愛らしくて
ヒー兄ちゃんは恰好良いのだ。

ヒー兄ちゃんは草食系男子らしいが(笑)
慣れない未来で野方を頼り、ひたすら原稿に打ち込み
結果を手にして樹里を待っていた彼も
やはり樹里に惚れられるだけの強さがある人なのだなと感じた。

       ***

今回の休憩は30分。
間に流れていたクロノスシリーズをまとめたムービーを見ながら
頼人のことを考えた。
キャラメルの舞台では、頼人がクロノス・ジョウンターを引き取ったことになっている。
科幻博物館の館長が頼人なのだ。

観劇にあたり、原作は事前に読んでいた。
『野方耕市の軌跡』は、キャラメルの舞台を見た梶尾先生の
アンサー小説とも言える作品。
野方=西川さんとして読み、興奮した。
なんといっても、あの野方が過去に跳ぶのだから。

科学者としての理性的な立場を保ち
実験以外で人を跳ばすことを否定してきた野方。
そんな彼が自ら過去へ跳ぶ。
しかも、79歳のおじいちゃんになってから。
きっかけは、科幻博物館の館長の来訪。

過去へ跳ぶ過程で一度未来に行くことになるのだが
野方はそこで吹原に出会い、正体は明かさないものの
クロノス・ジョウンターが博物館にあると教えたことになっている。

淡々と進み勝ちな梶尾先生の作品で、科学者野方に
こんなある意味感情的な言動をさせたのは、
キャラメルボックスのパワーだと私は思う。

個人的には、見合いの席で好感を持った女性樹里を
片思いの相手を助ける為に過去に跳ばすというのが
野方らしくない気がしたのだ。

何度止めても振り切ってみんな過去へ行ってしまう。
見送る野方も複雑で辛く思ったこともあったに違いない。

そして自らの結婚を経て孫まで出来て、守るものがたくさん出来た。
そんな野方が、遂に過去へ跳ぶ。

       ***

『南十字星駅で』。
キャスティングからいって、原作のように吹原と野方が未来で
”和解”するシーンは無い。
ならば一体どうなるのだろうかと思っていたが…

この脚本は酷過ぎる!
一歩間違えば、女の視点からすれば
壮大なストーカーの話である吹原の話が『クロノス』で
あんな感動的な描かれ方をしたときも驚いたけれど
この脚本の素晴らしさはもう反則である。

キャラメルのクロノスシリーズでは、原作にないキャラや
絡みなどが描き込まれ、人間関係を作り出しているのだが
それが保たれ微妙な関連性が持続している。
「青木さんに赤ちゃんが生まれた」
「娘に手伝わせるから」
など、うっかりすれば聞き逃してしまうような台詞の一言一言に
血が通っており、登場人物ひとりひとりの深みが増す。
出てくるホテルやお店などからも
時は過去から現在に、そして未来に繋がっているのだと
その流れの中に人は日々生きているのだと思わせてくれる。


原作と違い、館長と野方は知り合いなので
クロノスが故障し修理を依頼するという形。
しかも、頼人は吹原の為にクロノスを買い取ったことになっている訳だ。
「(修理をするのは)吹原の為なんだろう」
という台詞にぐっときた。
現時点の頼人の過去で、姉は亡くなった儘。
それでも、彼にとって吹原は恩人であることに代わりはないはず。
いろんな意味で。

樹里役さつきさんにとっての野方は、「ただただ感謝」。
樹里にとっての野方は恩人だ。
しかし頼人にとっての野方の存在は複雑だろう。

いよいよセルに入る野方を見送りに来た頼人の言葉は
胸に突き刺さった。
あぁ、それを言ってしまうか、とも、言って当然とも思った。

野方が、過去に跳ぶ理由を「(萩塚は)親友だからだ」と答え
納得する頼人なのだが
演じられた畑中さんも、このシーンを大切に考えておられたそう。
「親友」以外の言葉であれば収められない感情が溢れたかもしれない。
しかし、親友を救いたいと答えた野方。
『クロノス』で、「俺が(吹原さんの代わりに)過去に跳ぶ」と
言い出した頼人にとって、
”助けたい親友”と聞いて吹原の顔も思い浮かんだかも知れないと邪推する。

もう吹原は、頼人が助けることの出来ない地点まで渡航を繰り返している。
しかし、野方はまだ間に合うのだ。

この後過去へ跳び、思いを遂げた野方。
博物館に戻った野方が次に起こした行動は…。

こんな形で吹原との”和解”が描かれるとは思わなかった。
意表を衝かれ、思わず溜息が出た。


意表と言えば
個人的には畑中さんが萩塚役なのかなと思っていたので
野方役だったのはやや意外。
萩塚役の左東さんは、『エンジェル・イヤーズ・ストーリー』に続く
好青年な大学生役でとても良かった。
畑中さんの「野方今ここ」が聞けたのも中々嬉しい点。
また、野方に続く”悪役”をクロノスで演じた三浦さんが
とても良い息子(仕事を休んで旅行に付き合う、などという会話
ほろっとした)を演じられていたのもいろんな意味で良かったなと思う。
この時点ではまだ副館長である海老名さんの姿を見、
未だ時の神クロノスと戦い続けている吹原を思いもした。

他にも素敵なところはたくさんあったし
クライマックスはこれからなのだけれど
ストーリーの核心部分に触れることでもあるし
きりが無いのでこの辺りで筆を置こうと思う。


クロノスシリーズの”完結編”、
『南十字星駅で』。
過去のシリーズ作品をご覧になった方は必見である。
是非ともお薦めしたい。
また、ご覧になったことが無い方にもやはりお薦め。
『南十字星駅で』を観た後『クロノス』を見るのもまた面白いはず。

彼の旅は、まだ終わっていないのだ。




ブログライター取材の模様は
加藤さんのUst.で生中継もされました。
http://www.ustream.tv/channel/katohmasafumi

出演者の皆様、成井さん、
質問に丁寧に答えて下さり有難うございました。


また観に行きます!


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2010.03.09 Tue
今では考えられない、主役級ばかりの豪華出演陣。
ラブコメと銘打ち、思い切って無茶苦茶な設定や演出も
コメディだからとうまく視聴者を騙しつつ
魅せるところは魅せるバランスが良い。

テンポ良くストーリーは進み、
飽きずに見られる。

OLがランチにはまる、しかも1000円以内目途
という微笑ましくもリアルなところが
感情移入もしやすく
キッチンマカロニのようなお店が本当にあったら、
と思える。

函館出身の自分としては
知人宅のあったアパートが
なつみにとって重要なレストランとして使われていたのが
驚きつつも面白かった。

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2010.03.06 Sat
岩瀬登場、連載打ち切りなど"イベント"相変わらず盛りだくさんの巻。
この巻で、蒼樹紅のイメージがよくなった人は多いのでは。
ただただお嬢さんで可愛いくて、男の人を警戒しているからこその"ツン"だったわけで。
漫画が上、文学が上といった偏見も無い、冷静な頭の良さも垣間見える。

岩瀬は、デスノートでの高田清美的なキャラで再登場なのかと思ったが
蒼樹さんとの対比の為もあってか固く凝り固まったあまり魅力のないキャラになってしまった。
本誌掲載時の順位次第では、違う展開もあったのだろうか?

1巻から一番秋人が好きなのだけれど、今回のシュージンも相変わらず良い。
ファミレスでの打ち合わせで、あの言葉で席を立てるという
データ重視で冷静なように見えて熱いところが好き。

本誌掲載時に、登場する漫画でどれが一番読みたいかというアンケートをとっており
その結果も収録されていたが、自分もTRAPなど"エグい"話は非常に読んでみたい。

というか、大場さんのコメントには吹いた。
あれはギャグなのか? 笑えばいいのか?
どういうつもりでどこまでネタなのやら。(苦笑)

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2010.03.06 Sat
スクウェア・エニックス
発売日:2009-12-17

驚きのクソゲー。
正直、良い評価をつける人がいることに驚くほど。今までプレイした中で一番酷いゲーム。

確かに、映像は綺麗だし、システムも面白い部分はある。
が、これは飽く迄RPG。ストーリーが面白くなければ意味が無い。
それなのにこのゲームは、ストーリーがつまらないだけならまだしも、破綻していて全く意味不明。
ゲームとしての最低限のレベルに達していないのに、『ファイナルファンタジー』の看板をつければ売れるだろうという消費者を嘗めた態度はある意味で称賛に値する。
脚本家の正気を疑う。
こんなレベルなら自分に脚本を書かせてくれた方がまだマシな話になったわ。


ホープがスノウを憎む理由付けがまず足りない。母親が自ら志願した理由もわからない。
冒頭からその程度の違和感が随所にあったが
シドとの対戦あたりから崩壊。
「なぜ」こうなるのか、「どうして」こうしたのか
キャラの言動の理由がさっぱり無い、若しくは説明しきれていない。

そもそも、ゲームである以上ゲームをプレイする中でうまく説明しなければいけないことを
オートクリップという手法でいちいち読ませなければならない、読んでも筋が通っていない時点で間違い。

おそらく作り手としてはここで感動させたいのだろうが
なぜいきなりこんなことになったのかわからない以上
プレイヤーは放置。
スタッフの自己満足ゲーという評価も目にしたが
それにしてもスタッフらの精神回路を疑うだろう。

ファンタジーだからなにをしてもいいわけではない。
ある程度のリアリティに基づいているから説得力があり
だからこそ多少の無茶な設定も気にならない。
それがフィクションというもの。

ルシに近づいただけで罰されるような世界で
ホープの父親は保護で済む
というようなレベルの綻びならまだしも
ネタばれになるので伏せるがクライマックスに限って意味不明になる。

ホープが成長したなぁ以外に、プレイして良かった点が無い。
アニメのガンダムSEED DESTINYも、脚本が糞で声優さんら他の人たちが可哀想になったけれど
このゲームはあれ以上に脚本が糞で看板で誤魔化している。

amazonで、「5000円のごみ」「産業廃棄物」「スクエニ版ゲド戦記」「消費者を嘗めている」「詐欺」などという評価を見た。
まったくもってその通りだと思う。
自分はFFシリーズは6・10が最高
9が最低、8はEDまで見たら許可できた という評価の人間なのだが
13をやると9が全然マシに見える。

別に八頭身になったから駄目などとは思わない。
逆に映像が綺麗であれば良いとも思わない。
ロールをプレイするゲーム 
なのだから、ストーリー重視は当たり前。

14で盛り返せないならFFシリーズは完全に終わったな、と思わせる作品。
あれだけ多くの人間が関わっていて、このストーリーじゃ駄目だろ、と止められる人間が一人もいなかったのだろうか。

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2010.02.21 Sun
67巻も続いているから仕方ないとは言え
ちょっと無茶ぶりなネタが多い気がする。
ゴスロリ然り、シャツにしても、こんなネタいくら名探偵でも
解釈は難しいのではと思う。

黒の組織の話が出てきたのはやや好感触だが
大して進まない。
あとは小林先生の恋物語が注目点か。

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2010.02.20 Sat
やまざき 貴子
白泉社
発売日:2010-02-05

『ラストゲーム』
バスケの試合描写の迫力としては
やや物足りないかもしれないけれど、心情がとてもいい。
試合をしている男の子たちは勿論、
「自分も男に生まれたかった」と羨む女の子たちの気持ちもとてもよく分かる。
鷹丘は志望校云々言っていたときはどうなることかと思ったけれど
そういうオチなのかと笑った。本人的には報われないのだろうけど(笑)
ハッピーエンドで良かった。

『あおげばとうとし』
当初こんなに良いキャラになってくるとは思っていなかった
二下教諭。回を追うごとに良いキャラが見えてくる。
こんな先生が本当にいたらいいなぁと素直に思う。
『話のわかる』教師になんてなりたくない、というのが尤もで
殴って愛して先生として先に立ってくれる理想の先生。

『桜』
基本的にこの人の伏線の張り方が好きなのだが
これもまたそう。

作者が北海道出身なので、
『春に咲く桜』というものに対する思い入れや描き方に
並並ならぬものがあると思う。
自分自身同じ北海道出身者なので、
初夏ではなく『春』に咲きぼんやりとすべてを桜色に染める
桜という花に、本州に来てから持つ印象が変わったので
桜の描き方にとても共感する。


ところどころに、平の成長をうかがわせる短いシーンが差し挟まれ
それが頼もしく思う反面、あと2巻で終わってしまうと思うと
とても寂しい。
このまま高校生になった平たちを見続けたい気もするけれど
中学時代を描いたお話なので、潔くここで終わって
この後も彼らの”人生”は続いていくのだな、と思うのが正解とも思う。

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2010.02.20 Sat
小川 糸
ポプラ社
発売日:2008-01-10

正直言ってひどい。
映画化されるほどの高評価の理由がどうもわからない。

身近なところでも「良かった」という評価を聞いたので
読んでみたのだが
男女の価値観の違いなのだろうか?
これが児童文学であれば、少なくとも途中までは快く読めるし
面白いかもしれないが
『文学』『小説』というジャンルと考えれば
構成や文章など全てが稚拙と言わざるを得ない。

冒頭はわくわくして読み始めた。
だが、大家に挨拶もせず、声が出ないこともさして気にしない
という”ずれ”ている主人公に共感はあまり抱けない。

比喩の仕方は面白いと思った。
人の心は泥水というのは確かに同意。
心に汚い部分は誰しも持っていて、濁らない様
静かにしているという表現には頷く。

自分で作った料理を自分で食べることの
つまらなさなども理解できる。

これ以降は核心に触れるネタバレ含む。



インド人の彼の立ち去り方が、泥棒とも言える
あまりにひどいものなのだが
その『謎』は最後まで明かされない。
単純に追い込まれてあんなに避けていた家に戻るという理由付けにしては
どうにも安直なのは、書き手が女であることの被害妄想じみた描き方か。

いくら憎んでいる母親としても、こっそりへそくりを奪おうというのも
これまた泥棒だし

声が出ない割に誰一人慌てず傷つけるような言動もなく
順調に食堂の営業が軌道にのるのも稚拙な話運び。
リアリティがない。
”そんなにうまくいくはずがなかった”と言いつつ訪れた苦境が
陰毛事件で、それにしたって主人公がサンドイッチを捨てる辛さだけで
食堂の営業に問題はない。
こんなもの、苦境のうちには入らない。

彼女の料理を食べると願いが叶うだなんていう伝説じみた噂で
あっさりといろんな問題が表面上だけ片付いていく。
ファンタジーと考えても嘘臭くて浅い。
最終的に母親が彼女の料理を食べて和解するのだろう
という予想が裏切られることのない陳腐な構成。

母親が病気になることは苦境かもしれないが
このあたりの描き方にも徹底してリアリティがない。

一番問題なのはやはり、エルメス。
食肉に変えられそうだったのを引き取って
可愛がって育てていた割に突然食べるというのが理解出来ない。
それこそが愛だ、などど偽善も甚だしい。
百歩譲って食うのは良いとしても
「エルメスは自分の運命を悟っていた」
「苦しまなかった」
という欺瞞には吐き気がする。
このあたりで決定的に読む気力を失った。
それでも勿論最後まで読んだが。

自分の知人に料理人がいるが、彼は
「殺生が自分の生業だ」
と常々言っているし、包丁と食材を神のようにあがめ
とても丁寧に扱っている。

『命の大切さ』を教える為に敢えて目の前で屠ることに
私は疑問を禁じえないし、それはただの人間のエゴだと思う。

我々は日々命を犠牲にして生きている。
それなのに敢えて犠牲を増やすことは欺瞞だ。
料理人の葛藤や真摯な姿勢を描くならば
エルメスだけでなく全ての食材に対して感謝をするべき。
表面だけの料理人の描写。
本物の料理人さんたちに失礼。

母親が死んだからと、あれだけ決意して開いた食堂を
ずっとしめっぱなしにしているところも
プロ意識に欠けるだろう。


料理を作ることの楽しさ、人に食べて喜んでもらう嬉しさ
それは自己満足ではないはず。

あまりに稚拙な小説なので
少なくとも文学が好きな人、本を多量に読み込んでいる人には
お薦め出来ないし
とても感動も出来ない。
自分は正直このような内容ではとても泣けない。
作り事、絵空事、自分に都合の良いだけの自己満足小説。

昨今の、素朴だったり人が死ねば感動という残念な流行から言えば
流行に即しているとは思う。
また、口の利けない主人公の一人語りで進む物語や
豚の解体シーンを、映画でどう描くのかには興味がある。

拍手

2010.02.18 Thu
アーシュラ・K・ル・グィン
早川書房
発売日:1980-07

10年間に書いたものをほぼ発表順に収録した短編集。
17編も収録されており、読みごたえはかなりある。
解説が非常に的を射ていて、
『これらが何の説明・先入観もなく雑誌に載ったとしたら
はっきりいって、文句のない完結性を備えた短篇はほんの数篇』
だが
『各短篇が”アーシュラ・K・ル・グィン”という大長篇の部分を切り取った』
ものであるという表現が適切。

正直、彼女の世界観がとても好きな自分でさえ
受け付けられない部分や、理解し辛い部分があった。
短編としてその作品だけ読むには表現しきれておらず不完全な物が幾編かある。
ただ、こうしてまとめて読むことで多少なりともそれが緩和され、
ル・グィンという世界の空気感を味わうことが出来る。

個人的にはゲドの2巻の、あの陰鬱とした暗く混沌とした、
それでいてどこか美麗さを感じるあの雰囲気を
増幅したように感じる文章だった。
ファンタジーとしてとても素晴らしいし、発想もまた秀逸。

私は、『冬の王』『九つのいのち』『帝国よりも大きくゆるやかに』
が特に好きだった。

冬の王では、退位させること・させないことのどちらが陰謀なのか
どちらとも考えられることに気付いたとき、さりげない空恐ろしさを感じた。
帝国~ではエンパスの描き方に興味を恐怖を掻き立てられた。

クローン実験について一家言あるつもりの自分は
九つのいのちの
「君は自分にむかって、おやすみを言うか?」
という言葉が胸に突き刺さった。

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2010.02.10 Wed
どうしても、レイフォンとリーリンたちが敵対?する構図に
納得がいかないので
そのまま続きを読んでも納得がいかないまま。
外伝も読んでいないし、次から次へとキャラが出てきて
大風呂敷を広げすぎという印象。

何故レイフォンが天剣として共に戦えないのか同意できないので
リーリンにも感情移入できない感じ。

ファンタジーものとして読み始めたのに
『地球』とかその辺りの設定を持ってこられると
ファンタジー要素に欠けてしまう点も、物語に入り込めなくなっている一因。

主人公であるはずのレイフォンが、影が薄くなる一方なのも問題か。
リーリンやニーナサイドの説明にページが費やされ
レイフォンサイドから見れば、リーリンとニーナを救おうと
グレンダンに向かった、という全巻のラストから
殆ど話が進んでいない。
次巻から展開があるのだろうが…
正直メディアミックス云々のしすぎのせいか
冒頭でも言ったが話が散漫に広がりすぎて
感情移入出来ないので、正直どうだろうかと思う。

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2010.02.09 Tue
全6編入っている内、4編が既刊。(加筆修正はあり)
筆者が男で、しかも女はSFに理解が無いと思っている人が書いているだけに
納得のいかない点は多い。
ご都合主義であったり、女がやけに馬鹿だったり理想化されていたり。
キャラメルボックスで舞台化されたとき、そのおかしな点が
全て消化されており、純粋に感動できる話になっていた。

その後書き下ろされた栗塚編と野方編は、
違和感無く、短編であるのが残念に感じられるほど良い話だった。
特に、吹原編では『悪役』である野方が主人公になり
ついに自ら過去へ飛ぶ野方編はとても良いと思う。
純愛や友情部分も良いが、吹原とのある意味での和解となる
この章がラストに入っていることで、残り5編も引き立つ。
構成としてはとても良い。

ただ、多くの方がおっしゃられているように
既刊の話を再録に継ぐ再録というのは
あまりイメージの良いものではないかも。

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2010.02.09 Tue
この小説を元にした、キャラメルボックスの舞台『嵐になるまで待って』
を先に見た。

成井さんの作品の長所でもあり短所でもあるところが、純粋なところだと思う。
悪く言えば垢抜けていないというか。
キャラメルの脚本を書くときに、真柴さんと一緒に書くと
真柴さんの女性視点が加わることでいい感じに中和されるのだが
小説単体で読むと少しきつい気がする。

舞台では役者陣の演技や効果音や演出で
迫力に押されなんの疑問も感じなかった部分でも
小説だとそれがない分、リアリティに欠けて見えて違和感を覚える。

ユーリが真実を殴り書いてノートを渡し、走り去るシーンは
相変わらず好きだけれど
周囲がユーリのことをあっさり信じすぎる点や
波多野の姉との会話
波多野と姉の結末など
リアリティの無さに、ちょっと話に入り込めない。
舞台では全て無視してぐいぐい引き込んでくれるパワーがあるが
それがない分個人的にはイマイチ引きこまれないままの
悲しいラストに感じられた。

個人的には舞台の展開の方が好き。

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2010.02.06 Sat
成井 豊
ポプラ社
発売日:2009-11-02

演劇集団キャラメルボックス2009クリスマスツアー『エンジェル・イヤーズ・ストーリー』 の原作本。

他人の心の声が聞こえるようになった父親が
家族の心が離れていることに気付き
取り戻す話。
あらすじを言えばそれだけの、よくある話ではある。
が、引き込まれてしまう。

舞台版と大幅に人物設定が違っていた。
舞台にはあの設定の方が合っていたし
小説で読むにはこの設定の方が合っている。
この辺りは流石だなと思う。

父親視点で見た幸せなクリスマスが冒頭に描かれることで
その後いつの間にか見失っていた幸せが浮き彫りになる。

詩郎は舞台版と同じく好青年で、父親とこの物語を支えてくれる。
現実には、自分の心の中が相手に聞こえてしまうと知ったら、つい避けてしまうことの方が多いだろう。
こんなにストレートに接することが出来る人間の歌う歌は、さぞかし心に響くだろうと思わされる。

反対に秋人は、舞台版ほど存在感を感じなかった。
あれだけの手話による演技だったからこそ
体ごとぶつかるような秋人の熱さと静かさが伝わってきたのかもしれない。

父の推理はとても強引で稚拙ですらあるが、
年頃の娘から突然
「秋人さん…」
という心の声を聞いてしまっては、心配するなという方が
無理だろう。
が、強盗犯が金を奪った後、自分たちが捕まらないように
何もしていないのは舞台版と同じで
この辺りは多少書きこまれているかと思ったので期待はずれ。
頭が良く行動力もある人間が、いきあたりばったりに金欲しさに犯罪を犯し
その後どうなるか、自分たちがつかまったら
秋人はどうなるか、ということに考えが至らないとは思いにくい。

舞台版では大団円だった終わりも
小説ならではのちょっとリアルなオチが、より一層
誰も特別に幸せになった人はいない
のに何故か心が温かく、明日に希望が持てる気がするラストに仕上がっている。

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2010.02.05 Fri
宮崎駿
ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
発売日:2009-07-03

公開当時から興味が湧かなかった。
が、自分と好みが似ていると思われる人が幾人か、感動して泣いたとレビューを あげていたので
機会があったら見てみようと思っていた。

実際見てみて、やはりと思った。予測通り。

評価は二分されているように感じられるが
否定派は躍起になって否定しているし
肯定派は「素直に見ないから理解できないのだ」という信者然とした反論ぶりで
どちらに対しても微妙な気持ちになる。

斯く言う自分は否定派。
作家は大体において、どの作品でも言いたいことの根本は同じことが多い。
駿氏の場合、その伝えたいことというのは、私の目から見ればもののけ姫までで全て伝えきったと思っている。
神話や昔話にヒントを得、駿氏なりのアレンジが加えられ
描きこまれた絵と壮大な世界観で素晴らしいものになり
冒険活劇としても子供用アニメとしても完成されていた。

もののけ姫はやや子供用アニメからはずれていたものの
映画版ナウシカで伝えきれなかった
漫画版ナウシカの部分を載せきった、と解釈した。
「何が言いたいのかわからない」という評価もあったが
己で考えろ、というはっきり答えを出して押し付けないラストが、かえって評価出来た。

その次の千と千尋の神隠しは、個人的には全く期待しておらず、期待外れに面白かった。
駿氏の伝えたい部分のメタファーと、表面上のメタファーに気付かない場合読み取れるストーリーとの
バランスがよく取れていた。

が、その後のハウル(これは原作者が喜んでいるのでまだ良いが)とゲド(駿氏の作品ではないが)は
酷い原作レイプ。
原作とはかけ離れ、自分の言いたいことを伝える為に
設定や名前だけを利用し、内容を捻じ曲げてしまった。

今回のポニョに至っては、原作人魚姫と言いきっていないだけ良いが
千ちひのときに取れていたバランスが全く取れていない。
子供たちに見てほしかったのに、子供たちの反応が悪かった、とぼやいていたらしいが当然だろうと思う。
表面だけ見れば全くわけがわからない、支離滅裂な映画。
死や輪廻等々のメタファーである、と読み解くこと自体はそれなりに面白いが
飽く迄子供に見て欲しいというならメタファーなしで理解できる映画になってなかったら駄目。
ジブリという看板があるからこそ出来るし、「理解できた、面白かった」といってくれるファンがいるだけの話で
初手から無名の監督がこんな映画を作ったら総スカンを食らうだろう。
商業的に成り立っていない、監督の自慰行為映画。

コナンやパズーに代表されるようなジブリらしいあり得ない行為
(空中を歩く、驚くほどの馬鹿力、など)
が、ラピュタなどでは吹き出しつつも見入ってしまえる。
それこそがジブリ作品のキャラの魅力でもある。
が、ポニョには異常な行為を異常でないと思わせるだけの説得力が作品に欠けている。

たとえば、ジャムの瓶に金魚がはまっていて、出そうとして
金魚の尾ひれを無理矢理ひっぱり、
最終的に石をぶつけて割ってしまう。
生まれ変わりのメタファーだという理解が無ければ
尾ひれは千切れるし金魚は潰れるのが現実。
おいおい、と突っ込みつつも見られるほどの、勢いも魅力も私には感じられなかった。
可愛いより、気持ち悪いし怖い。

メタファーを一切取り除いてしまえば
ポニョの壮大なストーカー行為で村全滅
という救いようのない話で
自分にはとてもポニョが可愛いとは思えないし
子供用アニメで子供が両親を呼び捨てにするのも到底良いこととは思えない。

暗喩と表面に見えるストーリーとの二重構造
と言われているらしいが
とても二重構造として成り立っていない。

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2010.02.05 Fri
同名の、演劇集団キャラメルボックス2008年クリスマスツアーで上演されたお芝居の原作本。
舞台の方では、脚本は成井さんだけでなく真柴あずきさんも参加されていた。それにあたり、真柴さんは「女性の視点を入れた」をお話しされていた。
確かに、舞台ではなんの違和感もなく、また自分は特に真知子に感情移入して見ていた。
が、原作を読んでみると飽く迄典彦という男性視点からのみで
いぶき、真知子、亀田、亜希子らの女性視点は全くと言っていいほど感じられない。
小説で見る、純粋な、男性から見た可愛いいぶきたち
舞台で見る、リアルでシビアないぶきたち
その微妙な違いが面白い。

小説版は奥尻が男だったこと、舞台で重要な役割を果たした典彦の両親・妹が出てこないことには少し驚いた。
が、舞台と違い小説では典彦の気持ちをつづることができるし
両親たちが出てこない方がシンプルに典彦視点で読んでいくことが出来てとても良いと思った。

先ほどあげた女性視点がなく典彦から見た描かれ方しかしていないことから
亜希子にはあまり感情移入できないまま終わってしまった。
彼女の苦悩よりは、どちらかというと身勝手な部分が目に付いた。
いぶきが14年ぶりに父親に会いに来たときの彼女の緊張などにもあまり考えが至らず
ひたすら典彦の一人語りを読み進める感じ。

真知子が典彦に少なからず好意を抱いているのかと感じたのも、舞台をは違ったところ。
男性視点からくる、願望とでもいうのだろうか。


舞台版と比べてシンプルでわかりやすく
ただひたすら典彦の言動を追っていける為
自分の余計な詮索や感情
(このときいぶきはどう思っていたのか
亜希子はどんな思いだったか など)
の入る余地がなく、
男性読者はストレートに読めるのではないだろうか。
女性には多少食い足りなさはあるかも。

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2010.01.23 Sat
原作である漫画は読んだことがないので
再現率については分からないが
とてもよく出来た作品だと思った。

漫画とは構成が随分違うらしいが
映画初見の自分としては分かりやすかったし
しっかり笑えて、感情移入も出来て面白い。

役者陣、特に松山ケンイチさんと松雪泰子さんが秀逸。
カジヒデキさんが曲のプロデュースに参加していることを
見るまで知らず、その点でも驚いたし笑ってしまった。

音楽を題材にした作品は、漫画で音が鳴らないからこそ
漫画で描く意味があり
うまくやれるのならメディアミックスも映えると思う。
レーベルはデスレコードとしてCDを売り出すなどの試みは
個人的には好きだ。

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2010.01.15 Fri
真保 裕一
講談社
発売日:2009-08-26

読んでいて、『奪取』を連想した。
スピード感と、ちょっとアニメ的というかフィクション感が強く
こんなことあるわけないと思いつつも
テンポ良く読み進めてしまう感じ。
読んでいる最中は、これだけ広げてしまって
あとこのページ数でどうやって集約させるのか
などと思っていたが
結局あっさりとうまくまとまり
(現実的に考えればあっさりでもまとまってもいないかもしれないが)
それぞれがちょっとずつ前を向けるようになっている。

自分が百貨店勤務の経験があるせいか
真夜中の誰もいないデパートというシチュエーション、
接客へのあり方、百貨店への愛着などの気持ちに感情移入しやすく
世代的にはややずれるのだろうが
それでも幼かった頃両親と行った百貨店には思い入れもある。
懐かしき、古き良き時代。
しかしそれは失われたものではなく、現代にも遺っているはずのもの。


登場人物も多く、終盤で突然登場する人もいて
少々とっ散らかった印象を感じなくもないが
感動出来るいい話になっていて
非常に面白かった。

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