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ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
2024.05.20 Mon
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2010.02.06 Sat
成井 豊
ポプラ社
発売日:2009-11-02

演劇集団キャラメルボックス2009クリスマスツアー『エンジェル・イヤーズ・ストーリー』 の原作本。

他人の心の声が聞こえるようになった父親が
家族の心が離れていることに気付き
取り戻す話。
あらすじを言えばそれだけの、よくある話ではある。
が、引き込まれてしまう。

舞台版と大幅に人物設定が違っていた。
舞台にはあの設定の方が合っていたし
小説で読むにはこの設定の方が合っている。
この辺りは流石だなと思う。

父親視点で見た幸せなクリスマスが冒頭に描かれることで
その後いつの間にか見失っていた幸せが浮き彫りになる。

詩郎は舞台版と同じく好青年で、父親とこの物語を支えてくれる。
現実には、自分の心の中が相手に聞こえてしまうと知ったら、つい避けてしまうことの方が多いだろう。
こんなにストレートに接することが出来る人間の歌う歌は、さぞかし心に響くだろうと思わされる。

反対に秋人は、舞台版ほど存在感を感じなかった。
あれだけの手話による演技だったからこそ
体ごとぶつかるような秋人の熱さと静かさが伝わってきたのかもしれない。

父の推理はとても強引で稚拙ですらあるが、
年頃の娘から突然
「秋人さん…」
という心の声を聞いてしまっては、心配するなという方が
無理だろう。
が、強盗犯が金を奪った後、自分たちが捕まらないように
何もしていないのは舞台版と同じで
この辺りは多少書きこまれているかと思ったので期待はずれ。
頭が良く行動力もある人間が、いきあたりばったりに金欲しさに犯罪を犯し
その後どうなるか、自分たちがつかまったら
秋人はどうなるか、ということに考えが至らないとは思いにくい。

舞台版では大団円だった終わりも
小説ならではのちょっとリアルなオチが、より一層
誰も特別に幸せになった人はいない
のに何故か心が温かく、明日に希望が持てる気がするラストに仕上がっている。

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