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ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
2024.04.27 Sat
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2011.08.12 Fri
1996年版の『風を継ぐ者』が大好きで、2009年版も二回観に行くほど好きだったので、百万粒にはかなり期待しいた。
自分的に先週がはずれだったので、今回は大丈夫、と安心していたのだけれど、
結果はちょっと微妙。
期待しすぎたせいもあるし、風が良すぎるせいもあるかもしれない。
風で完結していた物語のスピンオフが、個人的には余計に感じてしまった。

まず、タイトルの理由があまり良い理由には思えなかった。なので肝心の決め台詞も、良いものには聞こえなかった。
昭島のキャラクターが迅助とかぶっていて、迅助の魅力があまり出ていなかったように思う。今回の迅助はあまりいいところがなく、足の速さでも昭島には敵わない。活躍と言えば、昭島にはめられた土方を助けに行くシーンくらい。
迅助はあんなに裏切られても変わらず昭島に友情を感じているようだけれど、私としてはその理由が理解出来ない。
いくら友達だからといって、すぐに土方に剣を向けてしまい、そのまま脱走というのが今までの迅助からは考えにくいように思うし
そこまでさせられておいて、なぜ昭島を恨まないのだろう。真っ直ぐというより、ちょっとこれは…。
それに、昭島が何故友達を裏切らせてまで龍馬暗殺犯を新選組の中に求めたがったのかもいまいち理解出来ない。
風では敵である長州勢に理由もあれば魅力もあった。しかし昭島にそれが感じられない。感情移入できないので、迅助に対しても微妙な気持ちになってしまう。

風でも近藤さんは出さなかったが、風の場合はうまく、本人は出てこなくても存在感があったように思う。
百万粒ではそれがなく、中身が非常に薄い感じ。
重要なシーンもナレーションのみですまされていく。

近藤さんは出ていないから仕方ないにしても
土方・沖田の最期も描かれない。
笑いをいれたい、笑顔で終わりたい、敢えて死に際を描きたくない。
それはよくわかるのだが、ナレーションだけで淡々と過ぎていくのはあまりに厚みがないと思った。

全体的に厚みがないし、キャラがたっていない。
みいもなんのためにいるのか。初対面のときに沖田を励ましたかと思えば「人を殺した事なんて無いですよね」と訊くのだが、この台詞も後々生きてくるわけでもなく
次のシーンからは沖田と打ち解けて、沖田を心配してあとをついて回っている。
まるで猫のよう、らしいが、新選組の文献を読みあさっている人間なら、猫と沖田と聞けば色々思うところがあると思うのだが。

辰次郎や、室戸も影が薄い。
室戸は折角のキャラクターなのに、もう少し丁寧に書いてあげれば面白かった気がするので残念。
昭島か室戸か、どちらかだけで良かった気がする。

土方が沖田に別れを告げに来たときの、
「意地をはっているみたいだ」
「傍から見ればそうかもしれない」
というときとのやりとりに違和感。
土方なら、意地くらいはらずにどうする、と返しそうなものだと思った。

迅助の物語の完結編と謳うからには、風のときのように走り回り活躍してくれることを期待していた。
今度は江戸の町を走る、というあおりもあり、期待していたが、結局昭島にだしぬかれてばかり。
箱館まで土方と向かい、今度こそ活躍かと思いきやナレーションだけで、しかも土方の死と同時に新選組も終わった、とされてしまう。
あとはつかまって、ちょっと龍馬を知っていて止めをささなかったことを恩義に感じる随分と真面目な室戸に命を救われ、それで大団円という雰囲気。

そもそも、会津会津と名前だけは出ていたが、原田永倉の名前は出たが、齋藤一の名前が出てこない。
会津戦争のことも出てこないのには違和感。

新選組が賊軍の汚名を着せられて転落していく時期を描いた作品なのだから
ある程度悲痛なシーンも描いてくれないと重みに欠ける。
何度も再起をかけて必死だったことや、近藤さんを助けようと土方さんが必死で走り回ったことがまったくといっていいほど伝わらない。

だったらそもそも、迅助を箱館まで行かせず、流山で捕虜になるなり、会津へ行くなりの展開の方が良かった気がする。

ただその中にあっても、特筆すべきは畑中さんではないだろうか。

元々、色白で紳士的な剣士という沖田像には疑問を禁じ得ない。
ただ、そのイメージをキャラメルの中でがらりとくず訳にはいかないが
たとえば迅助との面接試合で楽しそうに笑っているなど風での畑中さんの役作りは非常に史実に近いのではと思わされた。
そこで今回も期待していた訳だが、残念ながら出番が少なすぎる。病に伏しているわけだから仕方ないし、だからこそああした生き霊や幻の類として出すのも致し方なく、元気な沖田の姿が少しでも見られたことは嬉しい。

芝居がはじまって舞台に立っている沖田が
どきっとするほど具合が悪そうで
わざとらしく咳などしなくても病状が伝わってきたのがまず凄いと思った。
そして、幻として出てくるときと病床のときと、きっちり演じ分けられており
土方を救おうと迅助が奮闘する際に沖田さんが現れたときには鳥肌がたつほどだった。

沖田がつぐみに刀を届けてくれと迅助に頼むのも、ぐっとくるエピソード。
それが知れただけでも、見た甲斐はあったと言える。

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