ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
2005.12.01 Thu
繋がれた明日
真保 裕一
読んでいて、何度も涙が出そうになった。
なんてひどい、という涙と
なんて素晴らしい、という涙。
扱っているのは少年の殺人、主人公はその犯人の少年、
という小説だ。
以前酒鬼薔薇事件をモデルにして、犯人の家族を主人公にして
書かれた小説を読んだことがある。
(タイトルも筆者も失念しているのだが)
それはそれでもちろん良かったのだが、それに比べて人の温かみをより感じた。
以降ネタバレ。
被害者の親が最後まで主人公を許さないというのも
嘘っぽくなくて良かった。
最後に主人公が刺されるというのも、そのせいか可笑しく感じない。
主人公が抱く被害者や目撃者への思いも、正直納得のいくものだった。
もちろん、殺された側にしたらもう犯人を
何度も殺してやりたいと思うだろう。
が、逆にこの主人公のように、売られた喧嘩で弾みで殺してしまって、
自分が殺人犯として受刑し、家族まで白眼視されるというのはやはり辛い。
日野が言っていたことと同じだ。どちらも理解できる感情だ。
世間から爪弾きにされ、被害者の遺族から糾弾され、
ちょっと待て、被害者だって非はあったんだぞ!
と思うのも素直な気持ちだと思う。
ラストで、母娘は迎えにきているだろうと思ったが、
会社の人まで来てくれているとは思わず、つい泣けてきた。
隆太もそうだったろう。
加害者の家族も被害者なのだ、とはよく聞く。
が、これを読んで加害者も被害者たりうるということに気が付いた。
もちろん死刑に値する加害者もいる。
(私は死刑賛成派だ。場合によっては公開処刑も必要ではと思うこともあるくらいだ。
被害者の家族が、もういいですよ、と言ったら許してやるとかでいいのでは
と思っている)
ただ、やはり本当に反省してやり直す気のある人間を
邪魔するほど私たちは正しいのかととても思う。
聖書にある。人に石を投げている人間たちに向かってイエスが言う。
罪を犯したことの無い者がこの中にいるなら、その者だけ投げなさいと。
隆太や繁樹のような元受刑者を見て、被害者の関係者でもない自分は
本当に許せないものなのだろうか。怖がってしまうものなのだろうか?
そんな経験が無いのでなんとも言えないが。
デスノートのキラじやないが、殺された方が悪い、過失で殺してしまった、
という場合なら、そこまで怖いと思わないような気がするのだけれど、
甘いのだろうか。
しかしこの、本当に反省しているのかどうか、というのを
見極めるのが非常に難しいし、誰がどう見極めるのか問題である。
人が人を裁くというのは、やはり難しいことなのだ。
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2005.11.29 Tue
模倣犯〈上〉
宮部 みゆき
分厚いなあと思いつつ、手にとり。開くと二段。
おおお。流石の本好きの私でも、これは昼の1時間×10日間では
読みきれないかも。と思い、家に持ち帰り読むこと二日。
家での数時間と電車の中とお昼に読んでいて、
あちこちに持ち歩いていたから
重たくて肩が懲りました。(苦笑)
そして電車の中で必死に読んでいたら具合が悪くなった…。
けどこれは、乗り物酔いなのか、それともこの内容に酔っているのか。
一部を読んでいる間はまだ良かったのです。
二部に入った頃から気持ち悪くて。
悪酔いした。
デスノートのライトは、好きなんだ。
ちょっと怖いとか、え、と思うこともあるんだけど。
ルパンなんかもそうだけれど、悪人だけれど正義があって、理が通っていて
憎めなくて、むしろ痛快で理解できる。
そういう悪のヒーロー?っていうのはいると思うし好きだ。
ただこのピースにはそれが無い。
まあ本人が、正義のない理由のないのが本当の悪と言っている以上
彼の理屈ではこの悪は正解なので、仕方ないんだけども。
個人的にはただ悪で。気持ち悪くて…。
ただ、これを中居くんがどうやって演じたんだろうと
映画には興味を覚えた。
調べたら随分と酷評されているようなので二の足ふんでいるけども。
機会があったら見てみようと思う。
2005.11.26 Sat
トライアル
真保 裕一
取り敢えず今通っている図書館にある真保さんの本を全部読んでみようと。
文庫は全部読み切ってしまったようなので、ハードカバーに挑戦中。
で、これ。
そんな理由なので、内容はさっぱり知らない。
オムニバス形式だとはさっぱり知らなかった。
あとでつながるのかなーなんて思っていた。(苦笑)
文体がなんだか若いなと思っていたら、7年前だった。
にしても、前に取引を読んだせいなのか、人が死ななくて
ちょっと不穏なんだけど、結局最後は心温まるミステリーが
久し振りに感じた。
でもこの人はミステリー作家って言われているけど、
本当はこういう人だと思う。
すごい好きだ。
この心をぐっと震わされる感じ。
思わず涙ぐんだ。
良かった。面白かった。
2005.11.25 Fri
ハウルの動く城
賛否両輪のこの映画、DVDで見てみました。
世界観は好きだったし、キムタクもなかなか、悪くなかった。
ただよく分からないなというところも多くあったので、
原作を読んでから見なしてからのジャッジ、ということにしようかと思います。
2005.11.24 Thu
ゲド戦記外伝
アーシュラ・K・ル=グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin
外伝ですが、というよりむしろ、だから、
本編を読んでいる人には馴染みの名前もちらほら出てきます。
本編の後半よりもむしろ、個人的には面白かったかな。
オジオンやゲドが出てきたのか、個人的には嬉しかったです。
魔法使いと魔女ってそんなに違うの?と思う。
世代とか環境の問題なんだろうけど。
そういうのは差別だ!と思う世代なので。
振り返るとしかし、シリーズ1巻が一番面白かったなぁ。
2巻もまぁ面白かったけど。
3巻も面白かったか。
やはり年数があきすぎていて、作者のいろんなものが変化しているというのが
大きいのかも知れない。
2005.11.23 Wed
子供ができました―yoshimotobanana.com〈3〉
よしもと ばなな
さかのぼって読んでます。このシリーズ。
読んでいて、いろんなことを思った。
私はこれを読んでいて、ああ、ばななさんて悩みのない幸せな人だ、
なんて思っていなかったから、むしろそう思う人がいるって聞いて
びっくりした。
ばななさん云々の前に、本当に悩みのない人なんているはずがない。
悩みの種類は人によりけりで、借金に悩む人もいれば、
メイクのノリが悪いからって悩む人もいる。そんなときもある。
なのに見えてる部分だけでその人を決めつけられるって、すごいなぁ…。
でも、言われてはっとしてしまうのも、それはそれで人間らしい。
無駄な中途半端な超能力って、ばななさんも持っているんだ…
となんだか安心。
いや、私もそうなので。
私は専ら夢ではなくて、現実で、なーんかこんな気がするなぁって思う。
でもそれがどうしてかは分からない。
例えば、忘れ物をしているな、と出がけに思う。
でもそれがなにかは分からない。
絶対まずいものな気がすると、本当に定期とか財布とか携帯で、
そうでもないからいいや、と出かけて後から気付くと
指輪や本を忘れていたりする。
ドライブ中にBAMが選んだ道が、なんとなく嫌だなーと思っていたら
起きたての事故渋滞にはまったりとか。
もっと具体的に教えてくれたらいいのに…。
財布忘れてる!とか、事故起きるからやめよう、とか。
なんて思うんだけど…。
でもこういう能力って、本当は生きているものはみんな持っていて、
現代人には薄れているだけなんだと私は思う。
なんにせよもうちょっと自分の心の声を聞き取れるようにしなくちゃ。(笑)
それと、汚い話なのですが…
妊娠してお腹が大きくなったから、トイレで前から拭けず
止む無く後ろから拭いていると家族で盛り上がり、
男性陣が後ろからだというのを聞いて、そうか、なんて記述があり。
私は女で妊娠もしてないが、後ろからなんですが…。
黴菌が入ったら大変だから、前から拭くのはタブーとされていたのですが。
やっぱ密室で行われていることって謎なんだ…。
それをブログに書いているばななさんてすごい…。
って、私も書いてるよ。まぁいいけど。
最近体を動かしたいなと思っているのって、
ばななさんのフラダンスが楽しくて美しそうだから思うのかなと
はたと気付く。
小説として書いていないだけに、いろんな事柄が書き込まれているから
すごく面白いし読み応えがあるなーと思うのでした。
2005.11.21 Mon
鋼の錬金術師(12) 初回限定特装版
荒川 弘
表紙からして不穏な感じがしつつ、でもカバーを取った中身の背表紙は
ただの空だったので、ああ、誰も死なないんだと安心しつつ、読む。
なんかいろんな意味で、面白かった。
ああ驚いた。
ランファンとリンで表紙ど真ん中とってるだけあります。
恰好良いです。
あと、エドの背中も恰好良かった。
役立たずでもマスタングさんも恰好良かった。(笑)
出番ちょっとだけだったけど、ハボックさんも恰好良かったな。
スカーはアニメではなんだかんだ言っても★って感じだったけど、
原作ではどうなるのか、まだ見えませんが…。
今のところ微妙だけど…。
それと、恰好良かったと言えば、荒川先生のコメントが
最高に恰好良かったな。
フィクションはノンフィクションには敵わないと思うけれど、先輩から、
フィクションだからこそ、救いを描けると言われた、というやつ。
うわーすごい!!と思った。本当にその通りだ。
事実は小説より奇なり。
でも、現実ではいつも丁度良くヒーローが到着してくれるわけではない。
そんな現実を、少し良い方へ変えてくれる。
こうかもしれない、
だから頑張れる、と思わせてくれる。
それがフィクションの力なんだと思う。
2005.11.21 Mon
アースシーの風 ― ゲド戦記V
アーシュラ・K・ル=グウィン, Ursula K. Le Guin, 清水 真砂子
帰還同様の感想を持ちました。
時間が立ち過ぎていて、戻っては来ないなと。
確かにゲドにもう魔法は戻ってこなくて、それで良いのかもしれない。
それが正しいのかもしれない。
大賢人が今は見る影もなくて、しかも既に主役でもない。
それがあるがままの事実かもしれない。
ただそれはちょっと、残念だなあ。
ここまで来ると、宗教的だったり、社会の風刺だったり
いろんなものが秘められているようで、児童文学とは言えない気がしました。
レバンネンは好きだけれど、それだけに、なのか
テナーに対してちょっと苛々した部分も。
レバンネンの見方は、けして若者の対抗心ではなくて
一国の王としては正しいのではないかなと思うのですが…。
はいそうですかと政略結婚して腕輪を渡せるものではないでしよう。
竜と動物と人との違いっていうのは、興味を惹かれましたが。
動物は言葉を話せない。人は話せる。だから嘘もつける。
竜は言葉を話せる動物だが、嘘は吐かない。
そして動物は、純粋な気持ちで傍にいてくれる。
その温かさに守られる。
これはとてもよく分かる。
傍でほっこりと丸く温かく、柔らかく座ってくれているだけで、
どれだけ心が癒されるか。それは魔法使いでなくても、よく知っている。
それでもこの世の中に、それを知らない人のなんと多いことか。
なんか色々考える。だけに難しく感じる。
2005.11.18 Fri
機動戦士Zガンダム -星を継ぐ者-
友達がくれた新約Zを見て、
最初はなんのきなしにぼーっと眺めるつもりだったのに
もうつっこむのに忙しくて(笑)どうしようもない。
一時停止したり巻き戻したり、BAMとふたりでつっこんで、説明して、
そんなことをしていたらもうすっかり朝なのでした。
良い歳をしてなんていう大人たちなんでしょう。(苦笑)
いやーでも、とっても面白かった!
評価は随分と二分されているみたいだけど、私は高評価!
綺麗に切り貼りされていて、美しくも面白くもあり。
これをギャグかよって悪く言う人もいるし、確かに前編綺麗な
今の技術のZを見たい気もするけど、それはTV版Zのスタッフの
プライドが許さないと思うし、それをやっちゃおしまいでしょう。
テレビ版を知らない人にはどう映るのか分からないけれど、
知っている人はつっこむのに忙しいけれども面白く見られると思う。
個人的には、カイさんの「木は避けてもいい!」と、
アムロの「どけ!シャア!」がなかったのが寂しかったのですが、
書き込まれたMSや諸々、書き直されたコント(おい)など、
かなり面白かったです。
大丈夫。お勧めできる。
ところで声優さんなのですが、ハヤト・コバヤシが喋る度に
BAMが「アズラエルに似ている」つて口調を物真似して遊んでいたのですが、
確かに似ていると思いつつも、檜山さんってこんなハヤトみたいな
実直な正確の脇役キャラじゃなくない?と思っていた私。
エンド・ロールを見たらまんまと檜山さんで、ふたりでびっくり。
なんて策士なハヤト・コバヤシなんだ。(笑)
子沢山で実直なパパには見えなくなりました。(笑)
というか、声優さんに急激に詳しくなりだしているBAMが
ちょっと面白いけど怖いです。(笑)
2005.11.17 Thu
竜馬がゆく〈3〉
司馬 遼太郎
新選組と対比させて読んでいるだけに、作者の竜馬への愛情が
物凄くよく分かる。
そう思っているのなら、それは新選組嫌いだろうなあと思う。
まあそれとは別にしても、竜馬が既に海軍学校などと目標に向かって
具体的に動いている一方、近藤さんたちは、今江戸を発とうかというところだから、
確かになににつけ遅れていると筆者や歴史家たちが言いたい気持ちも
分からないこともない。
女の子たちでは私は個人的には
田鶴さんが一番好きなんだが、歴史上彼女と竜馬が
結ばれるわけもなく、まあ、なんだねえ。
う~ん…。
いやでも、読みます。
2005.11.13 Sun
わがままな帽子―初めての帽子作り
糸山 弓子
元々は、BAMのTDLハロウィン用の衣装の参考にしようと借りてきたもの。
でも、分かりやすくて型紙も数種類ついていて、
写真も素朴に可愛い感じですっかり気に入ってしまいました。
初めてでも、ちょっとお裁縫ができるなら
自分で挑戦しようって言う気になる。
自分で帽子が作れると、サイズも自分にぴったりサイズで、
デザインだって好きに展開できるし、
すごく世界が広がっていいと思う。
良い本を読みました。
2005.11.11 Fri
取引
真保 裕一
起承転結と言う言葉がありますが、この小説は起転転転って感じ。
もうこれは、ちょっとでも話の内容の感想を書いてしまうと
これから読む人に台無しになってしまうので書けませんけども。
兎に角すごく話がテンポよくサクサク転がっていく。
最初からすごいのに、どんどん凄くなっていっちゃう。
なのにリアリティを感じてしまうのは、やはり緻密な書き草のせいだよなあ。
リアリティのない癖にものすごくリアリティがある。
最後の結末は、あっさりとちょろっとで終わってしまい、ちょっと残念。
でもきっと、なんとかみんなハッピーになっていくんだろうなという
期待が持てる。
2005.11.10 Thu
こわれた腕環―ゲド戦記 2
アーシュラ・K. ル・グウィン, 清水 真砂子, Ursula K. Le Guin
最初は全然、ゲドが出てこないわけです。
それが、ポイント。
出てこないなぁ…と思いながら読み進めて行くうちに、
アルハに感情移入(とまでは私はいかなかったけれど)して、
すっかり引き込まれているうちにゲドが出てくる。
だから自然で、ゲドが突然出てくることにも無理がない。
どうせ出てくるんでしょう、というよりも、すっかり忘れていて
出てきてくれてすごくわくわくする感じ。
無理矢理ヒーロー登場、恩着せがましくて、
それに無意味に他の登場人物たちが引きづられる、というパターンに
けして陥っていないところが読んでいて気持ち良いと思う。
自由の重み、魔法が完全なものでないこと、結局は全て人に託されるということ。
すごく重みがあって、大切で、面白い。
2005.11.08 Tue
新選組証言録 『史談会速記録』が語る真実
山村 竜也
史談会速記録からの抜粋。
確かに当事者の証言の記録なので、なかなか興味深い。
その反面、解説はあるもののそれだけでは不十分と感じる部分もあった。
また、既に色々な資料へ引用されている文章も当然多く、
新たな発見と感じる部分は少なかったように思う。
が、それはもちろん私個人の話なので、当然この本は役立つと思うし、
史談会速記録を読めばよりよく全体が掴めるだろうなと思う。
2005.11.07 Mon
江戸ッ子の生活
芳賀 登
江戸時代の生活というよりは、江戸時代から現代までの
江戸っ子の変遷。
江戸のこういった文化が、今はこうなっています的な内容。
自分が求めていたのとは違う内容だったものの、
興味深く面白い記載があった。
ただ、全体的に今は昔と比べて…という憂う記述が多く、
苦手な向きには読み辛いかもしれないとも思った。
2005.11.01 Tue
朽ちた樹々の枝の下で
真保 裕一
まず、偶然手に取ったこの本の舞台が北海道だったことにびっくり。
そればかりか、函館もちらほら出てくるのが本当にびっくり。
北海道に住んでいた私が、この人の文章でその頃の空気感を
思い起こされるっていうのは本当にすごいと思う。
北海道のことをよく理解して、できれば経験して、
余程うまく文章にしないと、
「本当の北海道はこんなんじゃないよ?」といわれるのがオチだ。
だから本当にこの人は、本当に本当にすごい。
どの小説を読んでも、描写が緻密なのだ。
あの北海道の、うすら寒い夏の森を思い出させてくれただけで、
なんだかすごくこの本を読んだ収穫だった。
ラストは正直、ちょっとなんというか。
私は白黒はっきりつけたい人みたいで、
「そんな!」って思ってしまう部分もあったのだけれども。
でもそれでも、とっても面白かった。
今回のお話も、普通の人が、普通の気持ちとか正義感で
どんどん事件に巻き込まれて、気付くと銃を突きつけられたりしているのだけど
その中で知識や体力や判断力を総動員してそれに立ち向かっていくんだよな。
それが面白いんだよね。
私が尾高さんの立場になったら、気にはなるけど、そこまでして西垣さんを
追ってあげられるだろうか?
況してやピンチのときにうまいこと、女房だと言いつくろったり
蔦で引き揚げたり、車で逃走したり、なんてできるだろうか。
私が女で、尾高さんが男だということを差し引いても、
到底敵わないと思う。できる人だったらいいなと思うけど、
必死に自分の身を守って逃げることで精一杯になりそうで…
なんか嫌だなあ。
2005.10.26 Wed
ホビットの冒険 オリジナル版
J. R. R. トールキン, 瀬田 貞二
大好きな指輪物語の作者、トールキンのお話です。
指輪物語に出てくる指輪を、ビルボ・バギンズが手に入れた経緯を含む
冒険譚です。
指輪~の仲で、ゆきて帰りし物語とされているもので、ガンダルフもゴクリも出てきます。
トゥック家も名前だけは出てくるし、もちろんエルフやドワーフ、
ゴブリンなその種族も出てくるし、指輪を読んでからでも
読む前でも楽しめます。
一つの冒険物語として十分魅力のあるお話なので、指輪に劣らず
ワクワクさせてくれる作品です。
映画化してもいいくらいなのにと思います。
今度こそ原作にそって。
個人的にはナルニアよりよっぽど面白いと思います。
2005.10.24 Mon
竜馬がゆく〈2〉
司馬 遼太郎
一巻に比べて、段々血なまぐさい感じになってきました。
面白いです。面白いけど、うーん…。
なんだか段々よく分からなくなってきた。
改革ってなんだろう?
幕府が駄目だから新政府を。
それが駄目ならまた次?
幕府の駄目なところを直すのではなくて、幕府を潰すことが
必ずしも正義だったんだろうか。それって正解?
こういうことって、運というか、その人本人の資質ももちろんなんだけど、
育った環境や入ってくる情報で大きく左右されてしまうよなと思う。
元から反徳川的な気質のある育ちと、将軍家お膝元、と自負している育ち。
もうそれだけで、幕府が頭の固い邪魔者か、敬愛すべき守るべき存在なのかが違ってくる。
どちらが正しかったかなんて、結果を見て後世の歴史家が言うことで、
私にはどちらも間違っていたとは思えない。
それだけに迷う。
自分だったら、一体どうしていたんだろう?
古い習わしに囚われる佐幕派を斬っていたのか。
突然掌を返してクーデターを試みる勤王派を斬っていたのか。
本当に分からない。
でもどちらにせよ、見極めて行動を起こす人でいたいなとは思う。
あまり海援隊とかその当たりの知識が無くて知らなかったのだけど、
沢村惣之丞さんの死に様には圧倒された。
遺恨をのこすまいと、薩摩藩からすら止められたのに切腹。
自分の命よりも世の流れを考えていた人。
「男子たるもの、呻吟して布団の上で薬鍋と組み打ちするより
この方が往生際が面白い」と言ったという。
確かに、入院して薬づけにされて死を待つよりも、ぱーっと死に花を
咲かせられるものなら咲かせたいとは私も思うけれど、
相手方の薩摩藩が切腹などいいから、と言ってきたら、
命が惜しくなってしまうんじゃないかと思う。
それなのに、凄い。
自分の命よりも、海援隊と薩摩藩、ひいては日本の行く末を念頭において
生きるなんて、そんなこと誰にでもできるものじゃないだろう。
本当にすごい。
2005.10.22 Sat
ソウ―SAW
行川 渉, James Wan, Leigh Whannell, ジェームズ ワン, リー ワネル
随分前にBAMがテレビの映画紹介で見たと言ってさわりを話してくれて、
それ以来結末がずっと気になっていました。
でも怖いので、映画を見ようという気には到底ならず。
そのままになっていたのですが。
図書館の棚で偶然発見して借りてきてしまいました。
パラッと読んで、やはりどう見てもハッピーエンドにはならなさそう
と思い、元はと言えばBAMのために借りてきたんで
BAMに結末だけ教えて貰おうと思っていたのですが
つい読み出したら止まらなくなり…。
結局最後まで読んでしまいました。
恐がりの自分でも、読めると言えば読める。
でも、やっぱりとっても怖い。
ノベライズされることで、どれくらい映画とストーリーが異なっているのか
分かりませんが、
怖いしハッピーエンドじゃない。それでも読み終わって、
嫌な気分、何も残らず気持ち悪いだけ、そういうストーリーではない。
なにか胸に塊が残っていて消えそうになり異物感。
そんな後味でした。
映画は18日間という短期集中で撮ってしまったそうですが、
それも頷けます。
異様なテンションが、字間からも伝わってくる。
今度saw2が公開されるのがまた、気になってしまう…。
でも気持ち悪い…。
2005.10.12 Wed
大政奉還―徳川慶喜の2000日
童門 冬二
今まで小説・資料関係を読んでみて、自分の中に残ったイメージ。
徳川慶喜は卑怯で弱虫。
結構小説なんかでも、まあ主戦派の容保や新選組サイドから書かれているので
致し方ないと言えば致し方ないんだけども、
そういう描かれ方ばかりなんですよね。
で、「本当にそうなのか?」と疑問に思ったわけです。
これを読んで、そこまで慶喜ってすごい人だったのかなあという疑問も
沸き起こりつつはありますけども、ちょっと、ああ良かった、みたいな。
しっかり慶喜サイドから描かれているので、今までの悪いイメージを払拭してくれました。
榎本武揚の蝦夷共和国もそうだけれど、公武合体とか
慶喜の思い描いていた『第三の道』が実現していたら、面白かったのにな。
現代日本に至るまでにそれが残っているかは別としても。
もしと言っても仕方ないのは分かっているけど、つい考える。
もし実現していたらなあ。
2005.10.07 Fri
新選組
松浦 玲
今まで読んできた資料類の中で、結構「ん?」と疑問に思っていた書籍・箇所が
名指しで「そうじゃなくてこうでしょう」と描かれていて、すごくすっきりした。
ああ、そういうことか。そうかも。と思えた。
一番「はああつ。なるほどっ。そういうことなんだ!」と納得したのは、
近藤勇が天狗になった、と土方さんや沖田さんが言っているというのが、
大抵は近藤さんが調子にのりやすいタイプだったから、慢心したんでしょう
みたいに書かれていたんだけど、それが
「いや、天狗と言えば、芹沢と言えば水戸の天狗党でしょう?」
と言われてものすごいすっきりした。そうか~と。
だって、慢心したからなんとか言って下さい、って騒ぐだけ騒いで自然消滅。
なんていうのは可笑しいでしょう。
天狗党って話だったら納得がいくよまだ。
あと、勝さんに近藤さんの助命嘆願に行った土方さんの話とか。
いろいろと興味をもって読めました。
比較的発行年が新しい本だから、というのもあるけれど、
新しく且正解なのでは、と思わされる解釈が多く、勉強になりました。
2005.10.05 Wed
竜馬がゆく〈1〉
司馬 遼太郎
新選組の勉強の一貫で手にとったのですが。
まあ面白いか面白くないかと言われたら、面白いです。
ただなんというか、燃えよ剣を読んだとき、多くの人はすごく面白いと言っていたけど、
私には筆者の新選組への愛情がどうしても感じられず違和感を覚えて。
あとがき?を読んだらやはり、好きではなくて、書き終えた今やっと好きになった
というようなことが書いてあって、やっぱりそうだよな、と思ったわけです。
で、そのとき同時進行で書いていたとかいうのがこれじゃなかったんでしたっけ?
新選組が嫌い、開国派が好き、というだけあって、竜馬への愛に溢れていて
まあ面白いです。読みやすいし。
読みやすすぎて、「本当に竜馬と小五郎ってこんなすごい奴だったのかよ?」と
疑問を覚えるほどです。
結構へえと思うことはあったのですが、思ったところで
もう一度それが史実によるのかそうでないのかを調べないといけないんで
(私の今の用法的に)手間暇はかかりますわ。やっぱり。
私は変化系じゃなくて強化系とBAMにも評された通り、直情型?なんで、
策略とかよりもやっぱり、
いきなり大砲をちらつかせて仲良くしようと言ってきた見ず知らずの人
が家に入ってきたら、抵抗したいし悔しいけど、うちには刀しかないから無理だな~
とか思うよりも、例え今ここで死んでもこんなこと許しておけない、
意地は貫き通す!と家族を守って刀を抜く人なんですよね。
いくらもう時代遅れだと言われても、受けた恩は大切だし、
非情なことには抵抗したいですよね。
だからすごく、新選組に心酔するわけですよ。
もちろん竜馬とかも好きだし、みんなが真剣で頑張っていたんじゃないかなってところで
どっちが悪いとかどっちが良いとは思ってないんだけど、
多分私が当時に、男として生きていて、例えば試衛館の門人だったら、
きっと浪士組に参加してるだろうなって思うのでね。
そういう観点から見て、ちょっと筆者の竜馬への愛が、
新選組への愛の形を読んだ後だったのでつい比較してしまうので複雑ですわ。
いやでも、続きは読みますよ。もちろん。
2005.10.04 Tue
眠れるラプンツェル
山本 文緒
駄目だ…。
何がいいのか分からない…。
私は怖いのが嫌いだ。ジェットコースターを好む人を、
なぜ金を払っで怖い思いをするんだろうと不思議に思う。
私にとってこの筆者の書く文章というのはそういうものかもしれない。
世の大部分の女性にとっては楽しくて興味を惹かれるものだけれど
私にとってはそうじゃない。むしろその逆。
やっと読み終えた。
苦痛だった。
群青~よりもラストがまだしも分かりやすく前向きっぽかったのが救われるとしても。
私は集中して本を読む。
本だけじゃないけれど。
自覚したのはわりと最近だけれど、想像力がかなり豊なので
本を読んでいると登場人物やその環境にかなり深くシンクロしてしまう。
だから今もう、ものすごい倦怠感。
今夜北海道に帰らないといけない感じ。(笑)
まあ私は離婚する気はないし、猫も飼っていないし、年下の少年をかどわかそうという気もない。
異常っていうのは誰の中にもあって、結構身近で、異常なことに気付いてないこともあったりする。
それは分かる。
でも、なんだかなあ。
まだこの筆者の作品を読むのはこれで二冊日だけれど、
やたらとエッチするんだな。
それも恋人の母親とか、片思いの子の父親とか。
女ってそんなにメス?動物?
そして恋ってそんなに煩悩?
エッチってただ衝動だけのもの?
納得いかないんだけどなあ。
こういう筆者とか、これが好きな人には、
私の話なんて幻想で現実が見えてないと思うのかもしれないけど
幸せって毎日に溢れているし、結婚ってとってもいいと思うけどな。
好きな人と、今日も明日も一緒にいるっていう約束。
法律的にもきちんと社会的に認められて、一緒にいられる。
必ずここへ、帰って来るっていう約束。
約束が守られると、信じるための約束。
だけどな。私にとって結婚って。
私の性格上、まあ香水はつけるけど二個目からやんわりと、
違うのにしろよ~と言うだろうし
そもそもBAMはお土産を買ってくるほど気のきかない男だ。
そういう私は、主人公にとっては眩しく見える異世界の人なのかもしれない。
なんか今、とんでもないことをやらかして、泣きたくて
なにもやる気がしなくて、辛くて悲しいのに泣くこともできない感じ。
どうしよう、と思って、いやあれは小説の主人公で、
私はなんにもしてないんだからと思わないとずぶずぶ落ち込んでいく。
沼みたいな感じ。
ああだるい。
浮気ねぇ…。
してみたいのが女の本性?ですか?必ずしもみんな憧れるもの?
専業主婦とか夫が相手してくれない女は特に?
そういう話がしたいんでしょうか。
そういう考えって、AV見て、女はみんな襲われたいんだって思って
痴漢する虫けら以下男となにが違うんだろう?
なんて書いたら筆者のファンにおまえはなにも分かってないって
怒られそうですが。ほんと、分かりませんわ。(苦笑)
専業主婦なんてもよよんとしてたらはまりそうな罠、かもしれないけど
別に専業主婦は退屈なわけじゃないし、
私は専業主婦してたとき確かに楽だったけど
料理に手間隙かけられたし、それは夫のため、ひいては自分のためだった。
自分のやりたいことができたし。
専業主婦かどうかというより、旦那がどういう人かとかいうより、
自分で自分を分かっているか。自分というものを持っているか。
やりたいことがきちんとあるか。
ってとこの問題なんじゃないのかなあ。
先日ばななさんの『こんにちわ!赤ちゃん』の感想で書いたけれど、
私は自分が頑張っているつもりで、
頑張らなきゃいけない呪いに小さい頃かけられてる感じで
だから自分のやりたいことが無い、って人のことはよく分からない。
折角時間がたくさんあるのに、ただぼーっとしたり寝たりゲームだけして
過ごす人を軽蔑さえする。
「そう思う君も君だよ」、と昔言われてよく分からなかったんだけど、
ばななさんの文章を読んで、ああ、こういうことだったんだなーって
分かったんだけど。
まあそれはおいといて、そんな私には、強いつもりで、
強いふりするために頑張ってる自分には弱い人が鬱陶しい。
正確に言うと、弱いのをさらけ出して同情を買おうとする人が鬱陶しい。
弱さなんて誰にでもあるし、私だって別に強いわけじゃない、と言ってやりたくなる。
だから主人公の気持ちはちっとも分からない。
子どもを虐待して後から後悔する、というのはよく聞くけれど
自分の子どもでもない、言葉を喋れない動物を虐待する方がよっぽど卑怯だ。
自分の弱さを猫に押し付けるなんて、人に迷惑をかける弱さなんて最悪だ。
私が柳田さんだったら、タビを助けた後きっと
「死にたいならあんたが自分で死になさいよ」
と怒鳴りつけるだろう。
きっとタビを主人公の手には返さないだろう。
だから私には無理だ。
自分の弱さをひけらかして帰る実家がある女の気持ちなんか、どうしたって分からない。
2005.10.03 Mon
群青の夜の羽毛布
山本 文緒
前に知人に借りて読んだはずのタイトルなのに、
全然中身が思い出せないなあと思い、読み直してみました。
…うーん。
これって、これがこう、単純に不思議だとか面白いとか思えないのは
この家族の歪みが私にとってすごく身近で、
人ごとに思えないからでしょうか?
これが面白い人っていうのは、どういう点が面白いんだろう。
ミステリー調のところですか?
解説を読んでもちっとも良さが分からない…。
申し訳ないんだけど…。
だから記憶に残ってないのかなあ。
後味の悪~い感じだけ残って、今回も小説の内容、
しばらくしたら忘れてしまいそうな気がします。
私はどっちかと言うとさとるよりみつるだけど、
逃げられなかったという意味ではさとるで
こんな家燃やしてやる、という衝動も殺してやる、
という思いも確かにあったけど
実際やるほどの根性はないというか、どこか子どもで、
どこか自分の家だって普通だって思っていたいものなんだよね。
だからきっといつか大丈夫なんじや、そこまでやらなくても
平気なんじゃって思ってしまうものなんだよ。
そういうとき恋愛ってものすごく大事になってきて、
もうそれだけが生きていく支えで
そういうのって若い男の子にはちょっと面白くて神秘的かもしれないけど
年数がたつと重いだけで、けしてうまくいかない恋愛の形なんだよね。
人の家の業まで背負って生きていくのは、愛情や同情だけでは
なかなか難しいものです。
筆者は、わかっていて敢えてこれを書くのか?つまるところ自虐の一種?
それとも、知らないで憧れでこれを書くの?
後者だったらちょっと許せないけどなぁ。
私は物語は必ずしもハッピーエンドじゃなくてもいいと思っているけど
で、これは結局?どうなったの?どういう意味?
疑問だけでなにも残らない。
なにが訴えたいのか、私には残らないのはやっぱり私には身近な問題すぎるから?
ちょっと本当に分かりません。
筆者が、「男が欲しかったんだ」といわれた体験を持っているのかな。
結構びっくりしますけどね、子どもとしては。ショックですけども。
私の場合は男の名前はつけられなかったけど、
こうつけたかったんだ、とは言われましたけど。
本当に経験した人が書くのと、経験してない人がある種の興味で書くのと
結構読み手に伝わる部分も違ってくると思うので。
この筆者はどっちなんだろう…と思ったりします。
2005.10.02 Sun
赤ちゃんのいる日々―yoshimotobanana.com5
よしもと ばなな
ご自身で、小説として書いていないので
文章が文学的価値が無いようなことを書いていらっしゃるのですが
流石作家さんとでも言うのか、目の付け所が違うとか、
小気味良い言い方とか
相変わらずうまいなあと思ってすっきりしたりします。
面白いな。
yoshmotobanana.comの4巻から読み始めちゃったのですが、
1巻から遡って読んで見ようと思います。