ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
2005.11.01 Tue
朽ちた樹々の枝の下で
真保 裕一
まず、偶然手に取ったこの本の舞台が北海道だったことにびっくり。
そればかりか、函館もちらほら出てくるのが本当にびっくり。
北海道に住んでいた私が、この人の文章でその頃の空気感を
思い起こされるっていうのは本当にすごいと思う。
北海道のことをよく理解して、できれば経験して、
余程うまく文章にしないと、
「本当の北海道はこんなんじゃないよ?」といわれるのがオチだ。
だから本当にこの人は、本当に本当にすごい。
どの小説を読んでも、描写が緻密なのだ。
あの北海道の、うすら寒い夏の森を思い出させてくれただけで、
なんだかすごくこの本を読んだ収穫だった。
ラストは正直、ちょっとなんというか。
私は白黒はっきりつけたい人みたいで、
「そんな!」って思ってしまう部分もあったのだけれども。
でもそれでも、とっても面白かった。
今回のお話も、普通の人が、普通の気持ちとか正義感で
どんどん事件に巻き込まれて、気付くと銃を突きつけられたりしているのだけど
その中で知識や体力や判断力を総動員してそれに立ち向かっていくんだよな。
それが面白いんだよね。
私が尾高さんの立場になったら、気にはなるけど、そこまでして西垣さんを
追ってあげられるだろうか?
況してやピンチのときにうまいこと、女房だと言いつくろったり
蔦で引き揚げたり、車で逃走したり、なんてできるだろうか。
私が女で、尾高さんが男だということを差し引いても、
到底敵わないと思う。できる人だったらいいなと思うけど、
必死に自分の身を守って逃げることで精一杯になりそうで…
なんか嫌だなあ。
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