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ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
2024.12.04 Wed
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2010.01.07 Thu

http://www.atsuwo.com/blue2/

今日の20時しかあいている時間がない、と
慌てて年末にチケットを取ったら、なんと初日だった。
結構混んでいて、自由席らしいので
まぁせめて開場の10分前には会場に着いておこう
と思い、仕事終わってすぐ中野に向かい
マックでノートやりながら一時間ほど過ごし
いざ会場を目指そうと思ったら
携帯のナビを過信しすぎて逆方向に連れて行かれw
結局大内さんのブログを読み直して、道を戻って十字路からやり直して
会場に着いたのが19:35。
1~2列や真ん中あたりはすでに埋まっていたので
3列目の下手側に座る。
一応段差はついているものの、ぎっしり並べられたパイプ椅子の客席。
このタイプの客席だと、前後左右のお客さんの性格に居心地は左右される。
今回、前と左右は良かったんだけど、後ろの人に上演中
何度も背中を蹴られ。
悪気はないんだろうが、謝る気もないみたい。
あと、ななめ後ろの人がヲタクみたいで
そんな笑うところか? ってとこで、役者さんにアピールするように
わざと大声で笑う感じが嫌だった。

役者さんが床に寝ころぶシーンもあり、そうなると全く見えないし
ちょっともったいなかったな。
”非常にアットホーム”な日に来られれば良かったのだけど。

       ***

以前、大内さんプロデュースの『橋を渡ったら泣け』を見たときも思ったのだが
大内さんの演出は芸術的で繊細で、暴力的なリアルさもある。

正直にいえば、ダンスパフォーマンスだけの舞台は
退屈するんじゃないかと思っていた。
途中で観客の集中力がふと途切れる瞬間があるのではないだろうかと。
しかし、実際に目に前に繰り広げられたパフォーマンスの美しさに目を奪われ
退屈どころか一時間があっという間だった。

『橋~』でも、阪神大震災のことが衝撃だったと仰っていたが
今回のストーリーを見ても、それが伝わる。
どこか大内さんの内面というか、深層心理を覗き見するようで
そわそわと落ち着かなくなってしまうようなストーリー。

音と光と身体だけで、ここまで表現することが出来るというのが
驚きだった。

役者さんの作り上げられた四肢の美しさだけでも素晴らしいのに
音に合わせた動きを見ていて、笑顔になったり恐ろしくなったりした。

どの役者さんのどの動きも見逃したくないのに
自分の視界は限られていて、舞台はどんどん進んでいってしまう。
それが勿体なく感じた。
DVDで出してもらえたら、繰り返し繰り返し
ひとりの役者さんを追って見ることが出来るのにと残念に思うほど。

美しく、深く、正に青い水のようなステージ。


岡内さんの台詞で心に残ったものを、うろ覚えだがメモ。

”責めて欲しいの 赦して欲しいの”

”あなたの魂の中に、私の魂の一部が入っている”

”あなたの魂が消えてなくならない限り、何度でも出会えるから”

最後の台詞に重ねてショーキチさんの歌声が流れだしたときには
自分がショーキチさんが好きだから、というのを差し引いても
ぞくぞくと鳥肌がたち、思わず泣きそうになってしまった。

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2010.01.07 Thu
個人的に好みの展開な巻。
もし自分が福田組だったら当然参加。
もし実際に販売されているジャンプでこんなことが起きたら
正直言って読者の立場でも燃えるなぁと思う。
現実にはあってはならないことだろうけど
想像するだけで中々熱い。

最初蒼樹嬢はいけすかん女かと思っていたが
本誌の連載も読んでいて今の展開を知っているせいもあり
この辺りから不器用で真面目なだけで
良い女なんだな、というのが出始めてきて良い。

この頃の亜豆はかなり良い。覚悟ぶりが見える。
コピックを握らせるシーンは感動。

母親と編集長が自分としては許せない。
編集長は仕事だし責任もあるしなぁという部分もあるが
母親が邪魔でしょうがない。
父や祖父がもっと諭してくれよと、連載当時いらいらしながら読んでいたのを覚えている。
心配と御節介は紙一重。
最高たちも言っていたが、漫画を描いているのは自分たちで、自分たちの為に生きているのだから。

ときに連載時のこの漫画の掲載順位なのだが
物語が落ち着いてちょっと平坦な時には下がり
ストを持ちだしたときにはぐっと上がり
それも合わせて面白い。
ネット上では、バクマンの掲載順位は恣意的だという説もあるが
これが本当に純粋にアンケートの結果なのだとして、
作中で語られているように、物語の進行上盛り上がる話ばかりではなく
地道に次につなげる回も当然必要になってくる。
この掲載順位の変動は大場×小畑コンビの想定の範囲内なのか、意外だったこともあったのか。
デスノート13巻のようなまとめ・暴露本を出して欲しい。

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2009.12.25 Fri
以前、肩書としてこの映画にスタッフとして参加したというその筋では有名らしい人が
演出に参加した舞台を見たのだが
スタイリッシュにすることに捉われ過ぎて
映像としての見せ方を舞台にそのまま当てはめ様とする浅墓さ
学生演劇にも劣る感性度の低さに、金を溝に捨てたような者だ、と思ったことがあった。

そのイメージと、先に見た『硫黄島からの手紙』の劣悪ぶりから、評判が良いだけの結局は侍の名を安売りした
ハリウッド映画なのだろうと、全く期待せずに見たが
嬉しいことに大きく予想を裏切ってくれた。

勿論、多少おかしいところもあるが
フィクションなのだから説得力や面白さがあればOKだ
と自分は思っている。
日本人の意見をかなり取り入れた上で作られているだけあり
基本的に不自然さがない。
エキストラに韓国人や日系人を使う予定だったのを取りやめた
など英断も多く、所謂ハリウッド映画に出てくる日本人ではなく
日本人が誇りに思える日本人の姿が描かれているように思う。

幕末から明治あたりの日本には、名が知られていなくとも『カッコイイ人』というのはかなりたくさんいた。
名もなき人、というと、下級武士や農民など身分の低い人を連想する人が多いようだが
(何故なのか全く持って疑問)
侍や官僚など位の高い人にもそういった人は幾人もいたわけで
そんないくつもの物語の中に、こんな物語が本当にあったかもしれない、と思える。

実際、いくつかの史実にインスピレーションを得て作られた脚本のようだが
銃など近代兵器が導入されて、刀や槍の時代ではなくなってからでも
ここぞという場面では刀で斬り込みかつ成果をあげた場面も事実いくつもあった。
また、外国から軍事顧問や外交官、商人などの立場で来た人が
日本人の『誠』に心酔し、
ある人は国の方針を裏切り、ある人は帰国のチャンスを捨て、ある人は捕えられ命の危険に晒され
それでも誠を守る為武士たちと共に戦った。
日本人を妻にしたり、着物を着て髷を結ったり、日本人として生きた。
自分は、そのような史実を知った時、体が震えるような感動を覚えた。
文化や習慣の違う異国の人であっても、魂が揺り動かされる侍の誠。
遠い異郷で命を賭して勝ち目のない戦に参加した人たち。
人としての生き方、絆を感じさせられた。

それが、勝元やネイサンという形で良く表現されていたと思う。

また、戦闘シーンなどの迫力は流石ハリウッドで、非常に楽しめた。


人種を超えて繋がる絆や誠の魂の崇高さ
精神や文化の美しさを
日本人は今一度思い起こすべきだと思う。


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2009.12.23 Wed
荒川 弘
スクウェア・エニックス
発売日:2009-12-22

物語の終結に近づいているので仕方ないのだが
展開が早く勿体無い気もする。
スロウスやフーじいさんなど個人的にはもっとページ数をさいて
描いて欲しかった。
アームストロング姉弟はとても良いが
イズミやエドたちの活躍は少なく感じた。

繋ぎ部分が多いし仕方ない。
次巻に期待。

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2009.12.22 Tue
自分はこのシリーズは、
『探偵ガリレオ』→『容疑者X~』の舞台→『容疑者Xの献身』→本作→TVドラマ→映画
の順で触れた。
本作を読んで、大人の事情で女刑事を無理矢理出し、湯川と恋愛関係の雰囲気を演出というお決まりのドラマによる原作レイプではなく
内海という女性キャラが原作から登場していたことには安堵を覚えた。
ただ、それでもドラマ版のスタイリッシュさと、原作の緻密な雰囲気をぶち壊すネタは不必要だったと思うし、好きではない。
映画はまぁ、堤さんの演技力と松雪さんの美しさでカバーされていると言えるか。

この一章を、ピザ屋の青年を草薙の若かりし頃としてアレンジしたドラマは面白いと言えば言えるが
どう考えても一介の大学生の実験ビデオなんぞに警察が興味を示してくれるとは思えない。
全く説得力が無い。

探偵ガリレオはそのままドラマ化して差し支えない秀逸な短編集だったのだし
そのままドラマ化して欲しかった。
佐野さんが湯川で。
その後容疑者Xでは一転してドラマチックな長編となり、あのエンディングがエンディングだっただけに
あれでシリーズとして終わってほしかった気もすれば
その後の湯川や草薙の様子が垣間見られるのは嬉しかったような気もする。

短編として非常に面白かったし、内海という石神の件を知らない新キャラだからこそ湯川を再び捜査に引きずり込む
という設定はそれなりに説得力もあった。
だが、石神の一件以来警察から距離を取った割に
恩師を追いこんだり、頭脳対決に追い込まれたりと
どうも容疑者Xの呪縛とでも言うか
あの長編のドラマチックさに捉われている感がある。

容疑者Xが好きであれば、物足りなさを感じるだろうし
探偵ガリレオが好きであれば、無理矢理戻したように感じるのではないだろうか。
そのあたりが少し残念。



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2009.12.21 Mon

短編寄せ集めの巻と比較すれば面白い。
勢いもあるし、この先の展開も期待できる。
ただ、外伝ありきの内容になっているのが残念。
あとがきによれば、外伝を読んでいなくとも楽しめるように書いた、
とのことだが、とてもそうとは思えない。

さっぱり意味が通じず、つまらないと読み飛ばした箇所がたくさんあったにしても
こんなに読み飛ばしたっけ? と思ったら
自分が悪いわけではなかったようだ。
差し当たり本編以外のものを読む気はないのだが
すっかりレイフォンが主人公の座から追いやられているような。

レイフォンの葛藤も正直飽きてきた。
まだ悩んでいたのか、という感じ。
そこで感情移入が出来ないせいか、ラスト付近のレイフォンの焦りに
いまいち共感できない。
確かにニーナを心配するのはわかるけれど
自分の意思で動いているリーリンはどうなのだろう?

取り敢えず次巻に期待。


余談だが
守るという約束が守れないくらいならここで死ぬ
という覚悟は確かになるほど立派なのだが
絶対に勝てない相手に立ち向かい命を捨てるのと
一旦引いて策を練り直して確実に助けだし守るのと
どっちが正しいことだろう
などとふと思ってしまった。


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2009.12.16 Wed
事前にネットで、概ね評価は良いが、悪い評価をつけている人も結構いるな、と感じていた。
自分が実際に見てみて、結論から言うなら成程面白くなかった。
その理由は、第一に詰め込み過ぎにあると思う。TV版が終わってから映画版の時期までの説明で、あまりに語りが多い。語りだけで、感情移入がしきれない儘にストーリーが進んでしまい、観客が取り残された状態で悲痛な面持ちをされてもどうにも伝わってこない。
映画でやる必要がない、という評価も見たがその通りで、こんなに詰め込むくらいなら、TVで一度二時間SPでもやって、TV版のその後の咲たちの様子を描いた上で満を持してNYから映画版をスタートさせれば良かったのでは。
折角の映画なのに勿体ない。
ただでさえ謎解き編ともなれば説明や語りが多くなりがちなのに、これは頂けない。

また、滝沢の「王様になる」というのが本当にこの映画Ⅰの通り、ジュイスの解釈違いならば非常に興醒め。
他にも、こんなことならTV版放映時、wikiを見ながらファンが妄想していたストーリー展開の方が余程センスが良く面白い、という部分が多かった。
黒羽も随分と急にストレートになってしまったのがチープに感じたし。
この点はⅡでのどんでん返しに期待する。

全体的に、TV版から映画Ⅱへの橋渡しに過ぎない内容。
Ⅱを見る前に判断は下しにくい感じだったので星3つ。
Ⅱの内容如何だが、やはりⅠの内容だけ見ると、映画館で1800円取って見せるほどの内容ではない、と言わざるを得ない。

それでも、羽海野さんではないがまた滝沢に会えただけで、観た甲斐はあったとは思う。


以降ネタばれ。

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2009.12.10 Thu
行けたら行こう程度だったんだけど
仕事で苛ついて、これは浄化が必要だ、と思い
定時で即行あがって国際フォーラムのぴあへ。
こんな時間ぎりぎりだったので「まだ買えますか?」
と訊いたら、余裕で当たり前って雰囲気で「はい」と言われた。
キャラメルのハーフプライスチケット。
購入し終わったのが17:57で、席は1階18列20番。

思ったより余裕で、ユニクロで買い物して
18:40くらいに入場したんだけど、なんと自分が最後列。
つまり思ったより空いていたわけで。
もっと混んでいるとばかり。

制服の学生さんが十人前後のグループで観に来てた。
演劇部なのかな。男の子ばかり。
若いうちからこういうの観に来られる環境って羨ましい。

上演前の注意事項のVTRは、確かになんか見ていて気恥ずかしかったw


二時間かけて語られた話の中で、幸せになった人っていなくて
寧ろ不幸せになったように見える人すらいるのに
なんだかそれでもちょっと幸せになったような
前が開けてくるような、そんなお話。
話には聞いていたけど、本当にそうだった。

他人の心の声が聞こえるようになった父親が
家族の心が離れていることに気付き
取り戻す話。
あらすじを言えばそれだけの、よくある話ではある。

笑えるシーンはトリツカレ男並みに少ないが、あったし
心の声が聞こえる、というのを、単純にSEではなく
役者が演じ、ふたりで一役という演出も興味深い。
それもまた、本来の自分の役があるのに心の声を演じ
ひとりではなく複数の心の声を演じもする。
とてもハードな演技が強いられる。

ロシアで氷点下50度を下回ると、吐く息が凍るという。
そのときの音を、『星の囁き』と呼ぶのだそうだ。
真冬の、全てが凍てつく凛冽とした空気の中で
起こる奇跡。
天使のちょっとしたいたずらなのかもしれない。

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2009.12.10 Thu

くるちゃんのblogで
『夢を実現するということは働くことなんだ』
という言葉が引用されていたので、どういう文脈でこの言葉に繋がるのかと
興味を持って読んでみた。

こういった宗教色の強い本というのは、一般的にどうなのだろう。受け入れられるのだろうか。
自分は面白く読んだが、奇跡や祈りの類は、拒否反応を起こす人もいるのでは、と少し思う。

訳者のあとがきで、筆者のことが少し紹介されていたが、彼はカトリックを学んだものの、神の下す罰と神に対する犠牲が何よりも大切という教義に反発を覚えたのだという。
私はミッションスクールに6年間通う中で、聖書の語ることについて学んだし、好感も覚えたし、反発も覚えた。
或る程度知ってはいるし、好ましい部分もあるけれど納得がいかない、という感覚が、筆者と自分の共通点かもしれない。だからなのか、この本の内容に共感を覚える部分は多かった。


冒頭を読んだとき、これは悲恋の物語なのだろうかと思った。
だとしたら読みたくないなと、正直思った。
が、これも『他者の支配』だったか。

他者のレッスンの話は、至極当たり前のようでとても難しい。
現実問題には振り回されるし、全くそれを考えなければ
実際はただの自己中心的な奴になってしまう。

サルの話はとても面白かった。
『ある一定数の人々が進化すると、全人類が進化し始める』
というものだ。
救いが見えたような気がした。
だからこそ自分は、自分たちは正しい道を歩むのだと、決意する後押しになってくれるエピソードだろう。
ただこの反面、一定数が退化したら、全員が退化するのだとしたらやはり救われないのだが。

『特別の才能は恩寵か恵み
しかし、仕事に愛と誇りを持っていかに生きるかを知ることも、また恵み』
という言葉も好きだった。
マリアの夫ヨセフも恵みを受け、幸せの中に生きたと感じられたのは初めてだ。

自分は特定の宗教に対しての信仰は持っていない。
『神』に対する呼び名がいくつもあるだけ、とは自分も予てから思ってきたことだ。
マリアやイエスに対する信仰がなくとも、水をはじめとする自然に神が宿っているという感覚は日本人には抵抗のないものだろう。

川の畔で流したピラールの涙は、当初予想したよりとてもショッキングな理由からだったが
後味は悪くなく、どこか温かく赦しを得たような思いがした。

現状の自分自身はピラールよろしくもがいているところで
愛も誇りも持てない仕事をパンの為にしているところなのだが
早く本来の『仕事』の為に働かなければと改めて思った。





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2009.11.21 Sat


クリアしたー。

どこで間違えたかバッドエンド!!

と思ったら、これでノーマルエンドらしい。

まじかー。

ようつべで見たら、確かにバッドよりはマシだけれども。
グッドエンドはタイラーが喋ってて萌えたけども。

けどなー。なんかなー。

やっぱSEGAっぽいよね。
ぶっちゃけ厨二病満載だよね。

やり始めた当初は、3タイプのED見ようと息巻いてたけど
そこまでじゃないかなー。
ヴィヴィアンはまぁ可愛かったけど
主人公のキャラが無口設定にする意味がわからん。

それにグッドED見る為に必要な選択肢に、
意味が感じられない。
たとえばFF6の帝国との会食なんかでは、
ちゃんと良い選択肢を選べば良い結果になる
っていうならば兎も角
スポーツと読書で読書を推したらポイント下がったり
挨拶と握手で挨拶選んだら
勝手に無言で会釈しただけにされて感じ悪い人にされたり

まぁ結局厨二病の一言に集約されるんだけど。

そゆのがね。すっごい嫌。
ストーリーに拘る私としては、浅いなぁとしか思えない。


までも、PSPo2もRPGつうより、MH的にPP楽しむつもりだし。
別にいいんです。

フリーミッションやりこむ気が失せたので
UMD見たら売っぱらっちまおうかな。

 

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2009.11.20 Fri


6編の短編から成る原作の内3編を抜き出し
死神対老女、 恋愛で死神、旅路を死神をLive,Love,Driveとして
かつお話の流れとして美しいように、Love,Drive,Liveの順に展開し
2時間に纏め上げたのは素晴らしいと思う。
思っていた以上にスタイリッシュかつコミカルな舞台だった。
冒頭にざっと死神についての説明シーンがあり
自分は原作ファンだが、そうでない人も十分に楽しめる作りだと思われる。

シンプルかつギミックに溢れた舞台装置
窓枠が吊り上げられたり車が動いたりといった趣向に加え
映画のタイトルや小説の扉絵のような映像が
章の切り替わるタイミングで舞台上に降りてくるスクリーンに映し出される。
ただお洒落に無駄に映像や音楽を使っているのとは違って
小説を読み解いているような気がしたし、面白い演出だった。
音楽を重視しているのはキャラメル因子だろうか。
鼓膜に響いて煩いと感じる紙一重の直前までボリュームをあげて
唐突に止め、訪れた静寂の中に響く台詞。

羽場さんの演技が不自然に紳士的で堂に入っていて
作中の死神が目の前にいたらこんなだったかもしれない、と思わされた。
正直、自分のイメージしていた千葉よりは柔らかくまた年配のような気がしていたのだが
実際目にしてみると芝居の説得力に唸らされた。

身贔屓なのかもしれないが、冒頭でピストル自殺をする役を岡田さんが演じられていたが
あのほんの数秒で、台詞も「あああっ」という叫び声しかないのに
一瞬にして空気を作れるところが流石だと思った。
yahooのニュースで、荻原の動きが『コミカル』と書かれていて、
コミカルという表現はないだろうと思っていたのだが、
実際見てみると確かにコミカル。
立ち稽古の頃は割にシリアスだった演技が、作りこまれ変えられている。
だからこそ、飽く迄も前向きで癌で死ぬのも
それより前に刺殺されるのも、『最高ではないが最悪でもない』
と言えてしまう荻原の性格が、あの短時間によく表現されていると思った。
犯人役の畑中さんとの格闘シーンの迫力は、やはり普段からのコンビネーションの良さかと思わされた。


また、畑中さんの"悪い人"な役柄は、今までクロノスかデンキ島くらいが関の山だったので
殺人犯という役柄、しかも突発的に殺してしまうチンピラである森岡を
どのように畑中さんが演じてくれるのかとても興味があった。
ただ、彼の演技力と眼力の強さなら、ならどちらのベクトルにも振れるだろうと思っていたのだが
実際見てみてやはりその通りだった。
声のトーン、仕草、歩き方、全てが
不良で、しかしそれは弱さの裏返しである森岡を物語っていた。

この"Drive"で些か残念だったのは、『春』。
伊坂ファンであれば、この『旅路を死神』に出てくる壁に落書きをしている少年は
『重力ピエロ』の春であることは当然わかっていることだし
重力ピエロを読めば、春も殺人を決意しており、壮大な計画に着手し始めた矢先に千葉と会った事がわかる。
当然そこまでこの舞台で表現することは出来ないまでも
春の役柄はもう少し大事に扱って欲しかった。
あれでは、ただの壁に落書きをする不埒な若者と区別がつき辛い。

配役が発表になる前、一人で何役も演じるという話だったので
畑中さんのそのひとつの役がこの春であることを期待していた。
畑中さんなら、憂いと決意を含んだ春という若者を
丁寧に表現してくれたような気がする。

芳本さんは、Loveよりも、最後のLiveの演技の方が個人的には好きだった。
また、これも個人的な好みだが、青空の写真は
美容室から見下ろす風景か、もっと真っ青な青空が良かったと思うが。
この老女が千葉を死神と見破り、それでも怖がったり退けたりせず
温和に残りの命をいつも通りに紡ごうとしている姿
それに思わず千葉が圧倒される姿が見ていて面白いし
どこかほっとさせてくれた。

結局人が死んでいく話なのに、後味の悪くない
不思議な原作の魅力を、十二分に表現してくれたと思う。
付け加えるなら、この4人の役者以外は端役ばかりだったのが
少々残念だった。

MINERVA WORKS #1
『Live,Love,Drive. 死神の精度』

2009年11月18日(水)~29日(日)
紀伊國屋サザンシアター

原作 伊坂幸太郎『死神の精度』(文春文庫刊)
脚本 竹重洋平
演出 松村武
出演 羽場裕一/岡田達也 畑中智行 中村哲人
實川貴美子 岡野真那美 福本伸一/芳本美代子

料金 (全席指定・税込)
11月18日(水)~20日(金)…5,500円
11月21日(土)~29日(日)…5,900円

http://www.nevula.co.jp/shinigami/

 

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2009.11.14 Sat


電車で隣り合わせた人が読んでいたので
興味を持って読んでみた。
そんなきっかけがなければ自分で手には取らない作品だと思うが
気軽に読めて楽しめる内容だった。
少年少女向けか。

剣道を兵法として極めようとする女子中学生の磯山が、日本舞踊をやっていて剣道に転向した甲本と対戦し
己の剣の道を見つめなおすというストーリーで
磯山がやや酷い女に描かれすぎるシーンもあるが
基本的には非常にわかりやすい展開で、
ふたりのやりとりはどこか微笑ましい。

 

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2009.11.09 Mon
よしもと ばなな
文藝春秋
発売日:2008-11-13

暫く会っていない、大好きな人が
私の後ろ暗い過去を過ごした辛い、でも懐かしい場所に
一緒に車で回ってくれて、
笑顔で励ましてくれた。
そんな夢を見た。
そんな旅をしたことは現実には無かったけれど
彼は私の話を真剣に聴いてくれて、
「頑張ったね」
と言ってくれた唯一の人だった。

彼と過去に暗い気持ちで過ごした場所を旅する夢から醒めて読んだ本がこれだったので、とても驚いた。
似ているだけに、物語の世界観にのめりこんでしまった。

ネット上の評価を見えると、概ね高いようだ。
ただ、ばななさんのファンだからこその評価で、そうでない人にとっては
オカルト趣味、少女趣味のように感じるかもしれない。
それもまた無理のないことと思う。
しかし、私にはこれがただの絵空事には思えない。

由美子にとっての昇一という存在。
生きる上での様々な『意味』や『理由』。
淡々と語られるだけに、深く突き刺さってくる。

『知っている』人、救われたことがある人にとっては、
痛く、また甘い物語であると思う。



以下、メモに本文より抜粋。


やりすごしてばかりの人生を送っていると、だんだん自分がなにをしたくてここにいるのかわからなくなってくる。

実の親にかけられた呪いを解くのはほとんどの人が失敗するくらいむつかしい

ずっと思うようには動けなくて、夢の中で走っているみたいな、もどかしい、変な感じ

移動しはじめるときだけが好きなのだ。目的地が近づいてくると少しだけ憂鬱になる。

ああなる前は、私を優しく抱いてくれたこともあったし、私を見て笑ってくれていたこともあったのだ。

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2009.11.07 Sat


映画化という話がまずあり、そのプロットに参加し
それを映画とは少し違った形で小説化、という異色作。

自分は映画の方は見ていない。
正直ホワイトアウトにはがっかりしたので、
(尤も織田さんの演技は良かったと思うけれど。)
積極的に「見たい」とは思えず。

普通の小説とは発端が違うせいか、いつもの真保さんの小説と比べれば
緻密な作りこみよりも単なる派手さが目立ち、
そうなると説得力よりも、”ただの一外交官にここまでできるわけがない”
と引いた見方をしてしまいがちなせいか
ネット上で見た限りは酷評も多かったようだ。

ただ自分としてはやはり最低限の説得力はきちんとあったし
後半にいくにつれての怒涛の展開も面白かった。
何より社会派ミステリーとでも言うのか
着眼点が素晴らしく、単なる謎解きに終わらず
訴えるものがあり
それでいて痛快に読める小説だと思う。

こんな外交官、いるわけはないけれど。
こんな人がいて守ろうと奔走する姿を見たら、『自己責任』なんて責める阿呆は出て来ないだろうから。

機会があれば映画の方も見てみて、小説版とどう違うのか見てみたい。
なにより、アマルフィを見てみたくなった。
 

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2009.11.06 Fri


会津の勉強をすればするほど、自分が函館という
こんなにも縁深い土地に育ちながら
全く何も知らなかったことが恥ずかしくなる。
函館と言えば五稜郭、領事館、程度の知識しか無かった。
こんなに重要なことを、果たして学校で習っただろうか。
多分習っていないような気がする。
自分の母校の校長が雑賀氏の奥方だとは衝撃だった。
初の日本人の校長先生、と、入学してすぐの学校案内で
どこかの部屋に歴代校長の写真が飾ってあるのを見たとき
きっと名前くらいは聞いたのだろうけれど
それ以上のことは教えられなかったように思う。

五稜郭について勉強したときも思ったが
自分は思った以上に幕末・明治に激動を迎えた場所に育っており
函館という土地にいたことを、もっと誇って良いのではないだろうか。

にも関わらず今の函館がただの片田舎で
凝り固まった偏見だらけの上層部という典型的な駄目な地方都市なのは
こうした歴史を子どもたちに伝えないことにも一員があるのではあるまいか。
確かに坂や建物や、残っているものに歴史は感じるが
もっと学ばせるべき歴史だ。

雑賀孫六郎という人をネットで検索しても
あまり良いヒットは得られない。
あっても幕末の会津藩の雑賀氏ではない情報の方が多い。
この時代のことはそれなりに勉強しているつもりだが
正直この本で初めて知ることが多かった。
北海道新聞という地元ならではの媒体から出版された
本らしい細部まで得られる良本と思う。

単純な読み物としても分かりやすく楽しめるのではないだろうか。

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2009.10.20 Tue


幕末の同盟軍(旧幕府軍)側の史料を読んでいても思うのだが
勝てる戦いではない
この敵と戦ってはいけない
と分かっているのに、何かを守る為に
自分の命を投げ出して戦いに挑むことの
切なさと尊さ。
犠牲の大きさ。
裏切りやそれに等しい行為の中で
信念を貫いて逝った人たち。

読んでいて胸が苦しくなるのは
ただ悲しいからではなく
誇りの高さに心打たれるからだ。

幕末の武士たちと似ているものがある
と思っていたが、奇しくも近頃読んだ戊辰戦争関連の史料で
筆者が
戊辰戦争は太平洋戦争と似ている
母成峠は硫黄島だ
と書いていたので、尚の事興味深く思った。


手紙や様々な書物の引用、インタビューを元にし
参考になる史料ではあると思う。
ただ、筆者の感情が前面に押し出され
筆者が女であるせいもあるのかもしれないが
必要以上に惨めさや哀しさを強調しようとするのは気になった。

些細な点かもしれないが、武士とは潔く死ぬもの
という恐らく葉隠れからくる言葉を、
無駄死にする、あっさり死を選ぶと解釈しているようにしか思えず
物書きとして知識不足だと思う。

そんな筆者に比べ、閣下の次女であるたか子氏が
「父は幸せだった」
と言い切る毅然さが印象に残る。

アメリカと戦うべきではない、圧倒的な物量の差から勝ち目は無い
と分かっていたこと
その中で出来る限り島を死守する為の作戦をたてたこと
それも海軍と陸軍の軋轢により思うようにはいかなかったこと
終に玉砕するにあたり、その戦場の指揮官たる自分が
どう扱われるかということまで
全て分かっていた栗林閣下の毅然さは
やはり子孫の方々に受け継がれているのだろうと思う。

こんな戦いを経て、守ってもらったこの日本国土に住む
私たち日本人は
戦争はいけない、二度と繰り返すな
と平和を唱えることは悪くないにしても
敗戦国意識で尊い犠牲を戦犯と貶めたり
全てが過ちだったのだと死者に鞭打ち
何度謝罪し賠償しても金を請求されても
ぺこぺこしているような知識と誇りの無さでは
ご先祖様に顔向けできまいと思う。
 

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2009.10.16 Fri


あつをさんのblogで知り、読んでみた。
痛快なSFでわかりやすく読みやすい。
反面、オーソドックス過ぎて先は読めてしまうし、
後半はあまりに主人公に都合の良い展開。

また、1970年代から見た未来が2000年と、
『未来』を遥かに過ぎた現在この小説を読むと
”2000年はそんな時代ではない”ことが分かってしまっているので
やや滑稽に感じてしまうところはある。

主人公の相棒、猫のピートへの愛情は感情移入出来、
あやうくもう二度と会えなくなるかと思った時は
つい焦ってしまった。
また、ピートが複数の家にあるドアに対して
どれかが夏につながっていると信じて
夏を探して全ての扉を開けようとするところが
微笑ましくも飽くなき純粋な探究心に尊敬の念も抱く。

いくつかの突っ込みどころはあるものの
犬派の自分にとっても読後は爽快感が残る良い作品。

 

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2009.10.15 Thu


映画『硫黄島からの手紙』を見て
そのあまりの出来の酷さに閉口し
少しでも事実に近いものを学びたい
と思い読んだ本の内の一冊。

基本的に閣下から家族に宛てた手紙で構成され
(それ故著者が閣下自身ということになっている)
後半で解説として硫黄島の戦いについて等が書かれている。
非常にわかりやすい構成であり内容であると思う。

如何に硫黄島が重要であったか
たとえ玉砕しようとも守り抜きたい理由
閣下を初めとする兵士の覚悟

敗色濃厚の中で自らの死を覚悟し
母子家庭になることを詫び
国からの手当について調べるようにと
手紙に書き残す冷静さや愛情
また、長男に対しては息子というよりも
男として扱っているところに感動を覚えた。

戦後日本は負け犬根性で誇りを失ってしまったが
戦争から学ぶことは
悲惨である、繰り返すべきではない
という『当たり前』のことだけではなく
誇り高く生きた閣下のような人々
そんな人を尊敬していた人々が
どのようにして、どんな思いで
命を投げ出してでも国土を、愛する人を守ろうとしてくれたか
というその尊い志こそを学ぶべきだと思う。

 

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2009.10.13 Tue


ドラゴンマガジンに連載された短編に書き下ろしを加えたもの。
こうした軽いノリはラノベならではかもしれない。
読者としてもサクサク読めるし、作者も書きやすいかもしれない。
この先本編が進むに従って書けなくなる内容かもしれないし
今のうちに短編集としてまとめておかないと
発刊のタイミングを逃すかもしれない。
商業的な話やアニメ化に向けてだとか
まぁ所謂大人の事情は鑑みるにしてもだ。

正直この、各女性キャラ視点でコメディ的に描き
最後のほうの一部でちょっとシリアスに
本編に繋がりのあるエピソードを入れる
というパターンは飽きた。
読み始めて本編ではないとわかり、うんざりしつつ読んだ。
発刊をひたすら待っている文庫本派には
このパターンは噴飯物ではなかろうか。

エドというキャラの恐らく書き下ろし部分は
まだしも面白く読めたのだが
女性キャラ視点の短編物は酷い有様。
作者が作ったキャラを作者がどう描こうが
作者の自由だと言ってしまえばそれまでだが
この扱われ方は読者としてちょっと傷付く。
特にニーナの無理矢理さ加減はあんまりだろう。

結局この恋愛模様はどうオチをつけるつもりなのか。
いい加減短編コメディとして引っ張られるのは飽きた。

出来る人間、所謂天才が
出来て当然な故に他者が何故出来ないのか
理解出来ずまともに教えることが出来ないことや
そんな天才を見て悔しい気持ちというのは
とても理解出来るのだが。
 

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2009.10.11 Sun


一切知識も無く読み始めた為、
短編集だと気付くのに時間がかかった。
あとがきを読んでみると、同じ名前の登場人物がいるのは
単なる偶然のようだ。
しかし作家たるもの、ひとつのキャラクターにつけた名前を
他のキャラクターにもつけてしまうものなのだろうか。
普通避けはしないのだろうか。

個人的には、この短編がシリーズもので
全てがどこかでつながってくるならばまだ楽しめたのだが
そういった面白さはなく
不必要と思われる設定や描写が多いようで気になる。
謎解きの複雑さや巧妙さを楽しむわけでもなく
読後感は悪いものが多い。
これが持ち味らしいが、この筆者の作品を初めて読んだ自分としては
好みではないのかもしれない、という判断に止めるが

人の醜さや後味の悪さ、それでいて面白さ
という点では、個人的には京極夏彦氏の作品を推す。

 

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2009.10.10 Sat

上巻と同じく、サトウ氏が西軍に肩入れしている為
知り合いになったり着き従う者に会津藩の人間がいる割には
会津戦争の内情や幕府側としての本心について
一切触れられていないことが残念。

あの激戦の戊辰戦争も
戦場が北上するにつれて江戸にいる者にとっては
遠い場所の話であり
サトウ氏らは至って平和に飲み食いしたり
新年を祝ったりしていることが意外なようにも
これが世の中というものだというようにも感じる。

以前別の史料本に引用されていた
いくつかのこの本からの引用文とされていたものが
見当たらなかったのだが
訳の問題なのか版の問題なのか。

手に入るのなら原文で読んでみたいものだと思った。

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2009.10.08 Thu


アーネスト・サトウ氏の19~25歳頃の記録。
兼ねてから色々な史料に引用されており
興味を持って読んでみたのだが
思ったより知識が偏っており、薩長に肩入れする余り
事実誤認をしている部分がいくつか見受けられ
それが残念に思った。
ただそれにしても、ひとりの外国人の視点ならではの
普通の史料本であれば端折られてしまうような
ある人間に対する身なりやストレートな感想は面白い。

日本人に対して、本人らはもしかするとそのつもりはなかったかもしれないが
やはり東洋の黄色い猿であり、
心のどこかで見下しているのがよくよく見て取れる。
正直、こんな考えでこんな振る舞いをされれば
当時の世情を鑑みて自分が武士だったなら
外国人と見れば敵意を燃やし
無礼を働く者は切って捨てても正義であると
信じて疑わなかったに違いない。

サトウ氏の中で日本文化への親しみと
それをぶち破る正当性の区別がどこにひかれていたのか
いまいち分からない。
自分が公使を尊敬するように
武士も殿様を尊敬しており、公使への尊敬を押し通す余り
殿様へ無礼は行為を働くのはいかがなものかと思うのだが。

また、フランスやアメリカなど他の国への
ライバル心も相当なもので
これもやはり、中立で冷静な視点でいたのかと思っていた私からすると
意外な点だった。

 

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2009.09.16 Wed

キャラメルの情報で、畑中さんが出演している映画
として知ったショートフィルム。
サイトを見て興味を覚えたので見に行ってみた。
3日間ある上映日の内二つが日曜日で
ただでさえ渋谷という街が苦手な私は水曜日の今日を選んだ。
どうせなら、トークショーもある訳なのだし、と。

『Lost & Found -落とし物あずかり所-』
監督■三宅伸行
脚本■三宅伸行・荒井真紀
出演■菅田 俊 坂田雅彦 畑中智行 ほか
制作■gasebo film

真夏の夜の万華鏡
http://www.acedeuce-ent.jp/mangekyo/

【Trailer】http://aff.bside.com/2008/films/lostfound_aff2008


池袋のシネリーブルで事前に買ってあった前売りを持って
18時過ぎに到着して整理券と引き換える。
その時点で既に28番。
暇を潰して20:30頃ユーロスペースに戻ると
20~40代の女性でロビーはごった返している。
キャラメルのグッズを持ってきていたり明らかに畑中ファン。
自分も畑中さんが出ているから来たとは言え
見るからにミーハーな雰囲気にひいてしまい
自分も傍から見たらこの人たちと
ひと括りにされるのだろうけど、嫌だなぁと心底思う。
整理券番号順に入ると
走って席を確保しようとする姿が浅ましい。

取り敢えず自分は、三列目の中ほどがあいていたので着席。
上映後のトークショーに出演予定の
畑中さんや監督、脚本家が普通に客席に来たので
ちょっと驚く。
全員が気付いていた訳ではないだろうが
ざわざわと畑中さんの方を女子らが振り返っているので
そのせいで気付いた人もいただろう。
特に変装もせず座っていたのだからある程度覚悟の上だっただろうが
畑中さんが顔を覆う様に肘掛に肘をついていたのが
もしも騒ぎにならないようにという配慮だったのなら少し可哀想に思った。

お三方は普通に席で鑑賞され、エンドテロップのところで
一端外に退出されたようだ。
トークショー自体はとても面白かった。
本当は雪かきのシーンなどなかったとか
エキストラさんの話だとか
畑中さんが声が大きく動作も大袈裟で…
など裏話も聞けた。

ただ、畑中ファン(と思われる人たち)が
畑中さんの言葉にだけオーバーリアクションだったり
私の座る椅子の背中を蹴飛ばすほど
座席で子どものようにバタバタしたり大笑いしたり
これは映画を見ている最中にも気になった。

「僕は劇団の人間で普段は舞台に立っていて」
と畑中さんが話すと
「そんなこと知ってるわ、ファンだもの」
といわんばかりのリアクション。
なんだかなぁ、と思った。

この映画を純粋に楽しみに来た人にとって
そういう人らの存在は取り敢えずうざいだろうし
ウザ過ぎて、こんなうざい奴が好きな役者なんて
大したことないオタク向けの若造だろう、って
思われて終わってしまう危険性があるのでは?
わかりやすく言えば、ジャニオタが
一部の行き過ぎたファンの言動のせいで
ひと括りに馬鹿にされるのと同じ事である。

先日SPの映画のエキストラが岡田くんが好きな余り
彼の芝居を邪魔するような行動を取ったという
ニュースを見た。
岡田くんが素晴らしい演技をしても
後ろのエキストラが岡田くんを見てニヤニヤしてて
そのシーンが使えなかったとか
本当のファンがやることではないと思う。

別に畑中ファンだということをを隠せとは言わないが
キャラメルのグッズ持ってきたりして
アピールするのはどうなのだろう。
キャラメルの公演は畑中さんのホームだから問題無いが
これは映画というアウェイでの挑戦なのだし
彼を知らない、普通に映画だったり監督や脚本だったり
他の役者目当てで見に来ている人もいるのだから
もうちょっと弁えるべきだ。
年始のニューイヤーパーティでも思ったが
自分らの言動で他のファンや、何より役者本人に迷惑がかかるということを
もうちょっと考えたらどうなのだろう、と思った。


映画はショートフィルムらしい、ベタで荒削りな作りで
好感が持てた。
実質一週間ほどで撮影したというのも頷ける。
自分は山形の駅の作りが
東北北海道という同じ作りのせいなのか地元にも似ていて
思い出して懐かしくもなった。

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2009.09.04 Fri


面白くないとは言わない。が、非常に違和感がある。歪な鏡を見ているような気持ち悪さがある。
ネット上の一般の方々のレビューを読んでみたが、正に賛否両論。高評価か低評価のどちらかといった感じだった。
ファンの人と批判している人がどちらも相手側に対して、
「(これがつまらないという人は、またはこれが面白いという人は)読解力がないからだ」
という論旨が多かったのには苦笑いしてしまった。

私は、ある一定以上の読書量がある人にとってはつまらない小説だろうと思う。
随分と誉められている『独創的』な設定は全てどこかで見たものだし、
『斬新』な文章は敢えて難解にしようと作られたあざとさが見えて非常に読みづらい。
時系列通りではないから読みにくい、という単純な問題ではけしてなく。
これは確かに、理解出来ないのは読解力のせいではあるまいと思う。
奈須きのこさんご自身がSFやミステリが好きで、影響を受けた作家として幾人か名前をあげているが、
彼らの本を読んだことがある人にとってはこの小説は物足りないばかりか、
本物っぽく装おうとわざと難解に書き上げたような歪さを感じるのではないだろうか。
式という人格だけが難解で不思議で常軌を逸したように書かれている分には
世界観の演出として良かったのだろうが、誰の視点でもそれは変わらない。
とすれば、著者がそのような人なのか、『作った』文かどちらかということになる。

綾辻行人さんの『十角館の殺人』は確かに面白い。小説ならではのトリックである。
最近のミステリ小説にはそういった書き方がよく見られ、非常に引き込まれる気持ちはわかるのだが、
この小説の『トリック』は、「あんな風なトリックっぽくしたい」という幼稚で単純なトリックに過ぎない。
たとえば、髪の長さが中途半端だろうと、昔男が女物の着物を着るのが流行った時代があったにしても、
高校生が着物をきちんと着ていて男女の区別がつかないなどありえる訳が無い。
幼児の浴衣じゃあるまいし。
帯の結びや小物、色使いに至るまで色々な決まりごともあり、そこから判断出来る。
にも関わらず、どちらか分からないことにして中途まで話を進めるのは、トリックではなく誤魔化しているだけだ。
ついでに言えば、『本物』の着物に拘る人が、寒いからと言って羽織や着物用コートや襟巻きではなく、
真っ赤な上着を着ようとする辺りも解せない。
真っ赤なコートというチョイスが、如何にも厨二病という感じ。
綾辻さんの解説はどこまで本心なのだろう。
大人の事情が一切なく大絶賛なら、正直綾辻さんの評価が個人的には下がるやもしれない。

正直、ここまで内容に引き込まれないし続きを読む気にもならない小説というのは久し振りだ。
好き嫌いの問題ではない。私は嫌いな小説でも同じ著者の本を五冊は読んでから判断するし、
自分には合わないと判断はしても嫌い・下手という評価にはあまりならない。
一冊の本は何があっても必ず読み通す。
が、この小説は途中で投げ出したくなるのを堪えるのに随分忍耐力を使った。
私はラノベも同人も好きだし偏見もない人間だが、敢えて言うなら、
この小説は悪い意味で『所詮同人』であり、『ラノベの癖に文学を気取った小説』であると思う。

ただこれは、著者を批判するものではない。
批判されるべきは、コミケで売れたからと言ってほぼそのまま出版してしまった講談社や担当者だろう。
確かに『信者』が既についているので、そのまま出した方が批判も少なく、
信者分の売上は見込めるから大人の事情としては問題なかったかもしれない。
奈須さんやTYPE-MOONのファンには当然受け入れられるだろう。
小説を大して読んだ事の無い人には『斬新で独創的』だと評価されるだろう。が、それだけだ。
多分同人やゲームシナリオとしてはそうつまらなくもないだろうに、残念な小説としか言いようがない。

 

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2009.08.27 Thu



『重力ピエロ』の中に出てきた
”神様のレシピ”という言葉が気になって読んでみた。
やられた、と思った。
デビュー作でこの出来とは。

伊坂さんの小説は数冊読んでみたが
彼は事実を知っているのだ、と漠然と思う。
私などはどこかでまだ人を信じたいガキで
それでも最後は分かり合えるのじゃないか
という思いが最近まで捨て切れなかったのだが
どうしてもわかりあえない関係というのは本当はある。
単純に分かり合えず、離れれば良い関係もあれば
傷付けることしかない関係もある。
それも、物理的に傷付けることだってある。

彼の小説に出てくる人間は、とても強く綺麗な人もいれば
どうしようもなく、字面で追っているだけで絶望的になるほど
残酷で、人を痛めつけることが好きな
どうにも分かり合えない、同じ人間と信じたくないような人も出てくる。
この世の中には二種類の人間がいるのだ。

どの小説にも出てくるキーワードのようなものが
がいくつかあるが、
名探偵もそのひとつのように思う。

自分がいるから世の中は改善しない。
未来を話しても結果は変わらない。
神様の位置から降りたい。
自分は神様では無い。
何も出来ない。


読めばわかるのにどうして解説が必要なんだ
という解説文が、センスが良いと思った。
良い小説には良い解説がつく、のかもしれない。

ラストでは自分がその場にいるかのようで
この先起こることが目に浮かぶようで
体が震えるようだった。

大きな流れは押し流されるばかりで
ひとりの力で変えることは出来ず
神様がレシピを決めているのなら尚更何も出来ないのかもしれない。
見ているしかない。救えない。
でも、祈ることは出来る。

そしてその祈りが、流れを変えるのだと思う。


 

以降ネタバレ。

 

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