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ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
2024.11.23 Sat
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2011.08.12 Fri
1996年版の『風を継ぐ者』が大好きで、2009年版も二回観に行くほど好きだったので、百万粒にはかなり期待しいた。
自分的に先週がはずれだったので、今回は大丈夫、と安心していたのだけれど、
結果はちょっと微妙。
期待しすぎたせいもあるし、風が良すぎるせいもあるかもしれない。
風で完結していた物語のスピンオフが、個人的には余計に感じてしまった。

まず、タイトルの理由があまり良い理由には思えなかった。なので肝心の決め台詞も、良いものには聞こえなかった。
昭島のキャラクターが迅助とかぶっていて、迅助の魅力があまり出ていなかったように思う。今回の迅助はあまりいいところがなく、足の速さでも昭島には敵わない。活躍と言えば、昭島にはめられた土方を助けに行くシーンくらい。
迅助はあんなに裏切られても変わらず昭島に友情を感じているようだけれど、私としてはその理由が理解出来ない。
いくら友達だからといって、すぐに土方に剣を向けてしまい、そのまま脱走というのが今までの迅助からは考えにくいように思うし
そこまでさせられておいて、なぜ昭島を恨まないのだろう。真っ直ぐというより、ちょっとこれは…。
それに、昭島が何故友達を裏切らせてまで龍馬暗殺犯を新選組の中に求めたがったのかもいまいち理解出来ない。
風では敵である長州勢に理由もあれば魅力もあった。しかし昭島にそれが感じられない。感情移入できないので、迅助に対しても微妙な気持ちになってしまう。

風でも近藤さんは出さなかったが、風の場合はうまく、本人は出てこなくても存在感があったように思う。
百万粒ではそれがなく、中身が非常に薄い感じ。
重要なシーンもナレーションのみですまされていく。

近藤さんは出ていないから仕方ないにしても
土方・沖田の最期も描かれない。
笑いをいれたい、笑顔で終わりたい、敢えて死に際を描きたくない。
それはよくわかるのだが、ナレーションだけで淡々と過ぎていくのはあまりに厚みがないと思った。

全体的に厚みがないし、キャラがたっていない。
みいもなんのためにいるのか。初対面のときに沖田を励ましたかと思えば「人を殺した事なんて無いですよね」と訊くのだが、この台詞も後々生きてくるわけでもなく
次のシーンからは沖田と打ち解けて、沖田を心配してあとをついて回っている。
まるで猫のよう、らしいが、新選組の文献を読みあさっている人間なら、猫と沖田と聞けば色々思うところがあると思うのだが。

辰次郎や、室戸も影が薄い。
室戸は折角のキャラクターなのに、もう少し丁寧に書いてあげれば面白かった気がするので残念。
昭島か室戸か、どちらかだけで良かった気がする。

土方が沖田に別れを告げに来たときの、
「意地をはっているみたいだ」
「傍から見ればそうかもしれない」
というときとのやりとりに違和感。
土方なら、意地くらいはらずにどうする、と返しそうなものだと思った。

迅助の物語の完結編と謳うからには、風のときのように走り回り活躍してくれることを期待していた。
今度は江戸の町を走る、というあおりもあり、期待していたが、結局昭島にだしぬかれてばかり。
箱館まで土方と向かい、今度こそ活躍かと思いきやナレーションだけで、しかも土方の死と同時に新選組も終わった、とされてしまう。
あとはつかまって、ちょっと龍馬を知っていて止めをささなかったことを恩義に感じる随分と真面目な室戸に命を救われ、それで大団円という雰囲気。

そもそも、会津会津と名前だけは出ていたが、原田永倉の名前は出たが、齋藤一の名前が出てこない。
会津戦争のことも出てこないのには違和感。

新選組が賊軍の汚名を着せられて転落していく時期を描いた作品なのだから
ある程度悲痛なシーンも描いてくれないと重みに欠ける。
何度も再起をかけて必死だったことや、近藤さんを助けようと土方さんが必死で走り回ったことがまったくといっていいほど伝わらない。

だったらそもそも、迅助を箱館まで行かせず、流山で捕虜になるなり、会津へ行くなりの展開の方が良かった気がする。

ただその中にあっても、特筆すべきは畑中さんではないだろうか。

元々、色白で紳士的な剣士という沖田像には疑問を禁じ得ない。
ただ、そのイメージをキャラメルの中でがらりとくず訳にはいかないが
たとえば迅助との面接試合で楽しそうに笑っているなど風での畑中さんの役作りは非常に史実に近いのではと思わされた。
そこで今回も期待していた訳だが、残念ながら出番が少なすぎる。病に伏しているわけだから仕方ないし、だからこそああした生き霊や幻の類として出すのも致し方なく、元気な沖田の姿が少しでも見られたことは嬉しい。

芝居がはじまって舞台に立っている沖田が
どきっとするほど具合が悪そうで
わざとらしく咳などしなくても病状が伝わってきたのがまず凄いと思った。
そして、幻として出てくるときと病床のときと、きっちり演じ分けられており
土方を救おうと迅助が奮闘する際に沖田さんが現れたときには鳥肌がたつほどだった。

沖田がつぐみに刀を届けてくれと迅助に頼むのも、ぐっとくるエピソード。
それが知れただけでも、見た甲斐はあったと言える。

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2011.08.05 Fri
迷ったのだが、27歳のとき成井さんが書いた脚本を、27歳の柿喰う客の演出家が演出する、という文言に興味を惹かれて観に行ってみた。
ナツヤスミ語辞典は初見ではないので、ある意味余裕を持てたとは言える。
が、どうしても前に見たキャラメルの同作と比較してしまい、純粋に楽しめたとは言い難い。

単純に好みの問題ではあるのだが、のっけから舞台でリズムを刻み出されたときに、これはまずいなと思った。
苦手なタイプの演出だなと。
柿喰う客については名前は聞いたことがあったものの、芝居を見たこともなければ予備知識も殆どなかったのだが、こうしたタイプの劇団だとは思わなかった。
客層もいつもと随分違う印象で、芝居が終わればさーっと帰ってしまうし
隣の客は独り言が多く気になって舞台に集中できなかった。
何より、演劇初心者の友人を連れて行ったため、ひいているのではないかと終始気が気ではなかった。
実際、終演後恐る恐る訊いてみるとびっくりしていたし
『ナツヤスミ語辞典』だ、と思わずに、きちんと下調べをしてから誘うかどうか判断すべきだった。

逆に言えば、同じ脚本でも役者と演出が違えばこうまで違うかといった感じで
その違いは面白かったし、キャラメルのいつもの公演だけではできないような演技をキャラメルの役者がしているのは面白かったと思う。

それでも、先生はやっぱり二日酔いで授業をすることがあっても好かれるどこか爽やかな先生であって欲しかったし
ヤンマの一人の戦いがただの我が儘にしか見えずとても残念だった。
ムロマチはこの役者さんも中々恰好良く演じてくれてはいたが、強く見えてもどこかに弱さがあるような坂口さんの演技の方が自分としては好みだった。

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2011.05.04 Wed

とても久し振りだった。
前回のチケットが取れず、遠征にも行けていないので、私にとっては最後のThree cherrs~以来のライブとなる。

整理券番号107番だったにも関わらず
あまりに久し振りで前回のAIRのクアトロ以来に来る渋谷クアトロなので
あっさり道を間違えて迷ってしまい
到着したときには300番台の人が入場している段階だったので
良い場所を取るのは諦めてグッズを先に買うことに。
列に並んでいるとき後ろの人たちの会話が聞こえてきたのだけれど
AIRの中盤以降、アルバムで言えばFREEDOMくらいの頃から若い人
はっきり言うなら、曲の善し悪しはどうでもよくて、ただでかい音でがしがし鳴っている場所で暴れたいだけの人
もよくライブ会場で見るようになっていて
禁煙の会場で煙草を吸ったり靴を履いたままダイブしたりやりたい放題
ってことが結構あった。
でも、段々と客層が変わってきたよね、というお話をされていて。

これがLaika Came Backになって初めての生ライブな私には
客層もセットリストも何もかも初めてで
恐る恐る様子見というところが大きかったのだけど
確かに全体的に年齢層が高くなっていて
勿論マナーが微妙な人もゼロじゃないなりに
落ち着いた雰囲気。
若くても二十代、子連れで来ている人もいる状況。

車谷さんご本人がどう思われているのかはわからないけれど
少なくとも落ち着いて音楽を聴くのには向いた環境だった。

会場がスタンディングではなく、椅子がおいてあるというのも
NKホール以来初めて見た。

既配信の曲、出来たばかりの曲、
カバーやプライベートな曲などを
座ったまま演奏するという
AIR時代のBread of Life に近いライブで
非常にまったりとゆるやかな時間が流れた。


AIRのPansyが発表されたとき、誰かが書いたレビューか何かで
名曲なのにライブで演奏されることがないと思うと非常に残念だ
という趣旨のコメントがあって、非常に印象に残っている。

車谷さんの今までの傾向からいって
前の曲を演ったりはしないわけで
今回もやはり予想通りだった。
仕方のないことだが、シングルのPansyは勿論
AIR時代の名曲たちがもう生で聴けないのかと思うと
本当に心底残念だ。
Everything or ~などで客席をスポットライトが照らし
みんなの上気した笑顔と振り上げた腕が見えるのがとても好きだった。
ああいった光景は、もう見られないのだろう。


それでも、人は変わっていくものだし
過ぎ去るものは懐かしく寂しいけれど
その分得るものもあり、続いていくものもある。
この先の時間をまた共有できることに幸せを感じた。


終演後、車谷さんがお見送りします、とグッズ売場付近に立たれて
みんなと握手しておられた。
あまりそういったことが苦手な私だが
素敵な時間を提供してくれた人にお礼を言うのは自然のこと
という連れの後押しもあり、自分も列に並んで握手して頂いた。
「ありがとうございました」
と車谷さんもみんなに応えて握手をしておられた。
私の連れのときだけ、
「おっ、ありがとう」
だったのが個人的にちょっと印象的だった。
連れが、もしかしたら一番(ちびっこたちを除いて)若い学生
しかも男子だったせいかなと勝手に思っている。

BAKU時代、女性ファンばかりと嘆いておられたという話もあった。
Spiral、AIRと経て、男子はとても増えた。
その中には上記のような、ファンとは言い難い人もいたわけだが
若い男の子が激しい曲でダイブしまくったあと、
マナー良くにこにこLast Danceを聴いていたりということも当然よくあった。

年齢層があがり落ち着くのも結構なのだが
やはり良い曲なので、幅広い世代に、若い人にも聴いて欲しいと私は思う。
車谷さんが音楽業界に足を踏み入れた頃生まれた世代も
車谷さんの曲を聴き、ライブに足を運ぶということが
音楽らしい素晴らしいことだと思うし、そんな事実がちゃんとあることを
ご本人に知って貰えたという意味で、ちょっと嬉しかった。


まだ曲名や歌詞もないような今日歌われた歌が
アルバムとして世に出る日がとても楽しみだ。
それがまたライブで歌われ、そうして続いていく日々が
とても眩しく明るいものに感じられた。
とても素敵な時間だった。


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2010.08.03 Tue
sayの本棚
2010年07月
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バルサの食卓 (新潮文庫)
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2010.06.14 Mon
最初全く内容を知らなかった時点では
小説の映画化だと思っていた。
が、番宣でその後の大人になったアリスが
ハートの女王と戦う話と聞いて俄然興味が出た。
 
折角なので、3D・字幕で見た。
正直、内容は面白いとは思えない。
ところどころ話が可笑しいところがあったし
説得力の無い展開には疑問が残る。
小説のアリスのイメージが崩された感は拭えない。
笑いを入れるのは良いが、ちょっと無理矢理過ぎた点も
多かった。
 
ただ、それを補って余りある映像の美しさは凄い。
空想上の生き物や小さな生き物たちがリアルだし
迫力あるカメラワークと相俟って面白い。
3Dで見たのでそれが尚の事感じられた。
 
エンドテロップなども、世界観を大事にしようと
細部にこだわったのだろうと感じた。
 
3Dはそこまで興味がなかったのだが、予想外に面白かった。
 

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2010.06.04 Fri

昨日、なんとか定時に仕事を終わらせることが出来たので
前々から行こうと思っていたキャラメルのBBBを観に行くことに。

今回はほぼ全曲AIR。しかも開演まで開場で流れているのもAIR尽くし。
開場の18時から行きたいところだけれどどんなに急いでもそれは無理。
勿体ない。

サンシャインに着いたのは18時半頃。
2階席1列のチケットを取った。
劇場に入ると、既にそこからAIRがかかっており、否応無しにテンションが上がる。
久し振りの2階席。恒例の階段シアター。階段に誰もいなかったので
いつになくゆっくりひとつひとつ堪能。
そう言えば、改装されてから初めての2階席。
辿り着くと、荷物は置かれているものの誰も席にはついていない。
1列目に陣取りiPhoneを取り出すと
東池袋に着いた時点のツイートに加藤さんからRTが!!
すごいなこれ。こういうのってほんとに、twitterの醍醐味だなと思う。

spiral lifeがライブで聴けなくなって、今一番良い音で聴けるのはALONE AGAINだけ!
と当時言われていて、その事実に物凄く揺り動かされたものだけれど
今回のBBBも同じことが言えるわけで。
こんな広い場所でこんな大音量でAIRが聴けるのはリキッドのラストライブぶりだ。
それだけでもうテンションは最高潮。
誰もいないのをいいことに、すっかりノリノリで聴き惚れる。

今回私にしては珍しく、ネタばれを一切排除して
プレーンな状態で臨んだので、
青く照らされた舞台、並ぶ椅子も初めて見る光景。

Laika Came BackのLandedもかかったのは嬉しい誤算。
自分の結婚式でもかけた、大好きなsomehowがかかり
これ以上無い期待感。

ついに、幕が開く。

       ***

バイ・バイ・ブラックバード。
2010年6月、世界各地で新種の熱病が流行。
その後遺症で、数百万の人々が記憶を失った。
ナツカの場合は、11年分の記憶。
その結果、彼女の心は16歳の頃に戻ってしまった。
ナツカは、記憶喪失者が再教育を受ける学校に通い始める。
そこには、他に4人の16歳がいた……。
http://www.caramelbox.com/stage/byebyeblackbird/index.html



私は、記憶を失ったことがない。
一般的には、当たり前だろう。
いつの間にか眠っていたとか、酔っぱらっていたとか
そんな短時間記憶があやふやになることはあるにしても
年単位で記憶がとんだことはないわけだ。

ただ、ナツカたちの気持ちが少しわかることが出来る部分はある。
自分に覚えはないのに、相手は自分のことを覚えている。
そして、自分に少なからず同情して、優しくしてくれる。
そんな状況。

私は事情があって、幼稚園に別れて以来
親戚付き合いというものが一切無かった。
二十年近く経ってから、親戚に会わざるを得ない状況になった。
向こうは、私のことを覚えている。
「大きくなって」「すっかりお姉さんになって」
「昔こんなことがあって、あなたはこう言ったのよ」
その一言一言、全てが苦痛だ。
正直、知らないおじさんおばさんにしかこちらには見えない。
でも、はっきりそう言ってしまっては気を悪くするだろう。
だから、愛想笑いをして誤魔化す。
それでも、ぎくしゃくする。つい敬語になる。
「他人行儀な」
と言われ、無理に喋る。

全く覚えていない訳では無くて、4歳くらいの記憶が
時々断片的に出てくる。
同じようなことを、同じ声に言われた気がする。
けれど、それが目の前のこの人なのか確証が持てない。

赤の他人と、家族を演じなければならない。
だって、家族なのだから。
相手は、私のことを思って優しくしてくれるのだから。

だからこそ、辛い。

お互いに知らない人同士ならまだ良いのだ。
向こうには、私との記憶があるから困る。
私だけが覚えていない。
みんなは普通に、記憶の中の私の成長した姿として私に接してくる。
私は覚えていない。記憶の断片を思い出したところで、打ち解けられない。
いっそのこと全く何も覚えていなければ、ゼロから始められるのに。
これは、ひとりでいる以上の深い孤独を感じた。
それと、焦燥感。

100からも0からも始められず
ちゅうぶらりんに1から始めなければならない主人公たち。

もし自分が、心だけ16歳になってしまったら?
やはり、出来れば記憶を取り戻したいと思うだろう。
そうでなければ自立したいと思うだろう。
知らない人と家族ごっこをして気遣われて暮らすのは辛いし。
迷惑をかけたくないから。
そうやってひとりになっても、鏡を見るのも苦痛に違いない。
16歳なのに、鏡にはオバサンの姿が写る。
思い知らされる。


人によって、感情移入する人が変わると思うが
私は多分、一番充に入れ込んでいたと思う。

記憶が無いから、「おまえはこうだったんだ」という周囲の言葉を信じるしかない。
それが事実かどうかはわからない。
思いだした記憶が、実は思いだしたくもないような事実だったら?
知らない方が良かったのだろうか。
アダムとイブが林檎を食べたのと同じく、永遠の命題だと思う。

自分が、自分の思っていたような自分じゃなかったらどうしよう。
もう一度16歳のときに戻ってやり直して
果たして今の自分になるだろうか?
きっとそんなことはないと思う。

なんだかんだ言って、今の自分は好きだ。
それに、16歳から数年間経験したあの辛い日々を
二度と繰り返し経験したくはない。
(また同じことが起きるとは限らないとしても)

だから、選べるのなら、戻りたくない。
しかし、選べないとしたら。
私は私になれるだろうか。
私のままでいられるのだろうか。

       ***

以降ネタばれ。

私はAIRが、というか、車谷さんが好きで。
ロックに傾こうがジャズになろうが、「遠くへ行ってしまった」と感じたことは一度もない。
好きな人の行くところならどこでも行くし
彼が選ぶものなら間違いはないし
たとえ間違えていても、全ては大切で必然だ。
言葉にするなら、こんな感じだろうか。
車谷さんの音が変われば、それだけ自分の聴く音の幅も広がる。世界が広がる。

そんなに好きだから思うだけだろう、とつっこまれればそれまでかもしれないが
AIRの曲で凄いと思うことのひとつは、イントロ。
ほんの一瞬の音でその曲の世界に引き込まれてしまう。

特に”Are you sleeping Brother John?”と”I hate chopin”は凄かった。
とんと肩を押されて地面から足が離れるような。
落ち込んでいくように物語に引きずり込まれた。

勿論どの曲もどれもこれも好きに決まっているが
中でも好きな”夏の色を探しに”と”one way”、”Last Dance”。
このパフォーマンスシーンは素晴らしかった。
どこか切なく、懐かしい弦の響き。
映像を併用した表現の仕方。
計算しつくされた役者さんたちの動き。

2階席から俯瞰していたことも良かったのだろうが
心底美しいと思った。


やり直すチャンスだ、と言った充のお父さんを責めたくはない。
わかる気がしてしまうから。

先生がナツカの恋人だったのだろうとは
割と早い段階で気付けてしまうのだけれど
それはそれで沢野の言動ひとつひとつが切なく、痛々しく、いとおしく思える。


記憶があやふやでも、温もりや音は覚えているものだと思う。
肌も耳も、感覚が閉じることがない器官だから。
眠るとき、死ぬときも、耳は最後まで聞こえているという。

ナツカが充の台詞をきっかけにし、沢野の声を聴き
手を繋いで思いだす。

鳥肌がたった。

たとえ思いだせなくても、ここからまた二人で始めればいい。

沢野とナツカがふたりで見詰め合う、そこに流れるのが再び”One Way”。

”あしたからの夢の続き”。
不器用でも、今日を掴み、きっとふたりは明日を生きていける。
そう思えた。

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2010.05.18 Tue
石田 衣良,唯川 恵,佐藤 江梨子
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2009-08-28

以前雑誌でこの筆者三者の対談を見たことがある。それ
がきっかけで、読んでみた。

多少人を選ぶ本かもしれない。
内容的には、3人の登場人物がそれぞれに恋に仕事に
生きる日常。それも、三角関係。ただそれだけと言えばそ
れだけの内容。
ただ、男目線で書かれた章を石田さん、その年上の恋人
目線が唯川さん、若い女の視点を佐藤さんがそれぞれ描
いており
それもリレー形式の展開。
一人の小説家が三人の登場人物それぞれの視点で描き
出すのとは訳が違い
けして自分の思い通りにいくことばかりではなくなる。
デートをしようと誘っても、次の章で相手がなんと応えてく
るかは相手次第となる。
現実と同じ。
このリアル感、ライブ感が非常に読んでいて面白かった。

また、石田・唯川両氏と比べて、佐藤さんの文章が見劣り
しないのも驚き。
勿論、彼女の文章は毛色はやはり違うのだけれど、対談
でも
自分たち作家だと手あかのついた表現になるところを、佐
藤さんが描くと自然で素直で、それが新鮮
といった話があったが、まったくその通りだと思った。
恋に仕事に情熱的に苦しみながらも走ろうとする若さが
感じられ、面白い。

個人的に期待以上に面白く読めた小説。

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2010.05.14 Fri
学校の勉強だけしていると、江戸時代の日本は鎖国のイメージが強い。海外に出た人というと新島じょうやジョン万次郎くらいしか浮かんでこないのではないか。
しかし実は海外の情報、文化や本などは思ったより流通しているし、留学に出掛けた人は中々に多い。
その辺りの情報がよくまとまっていて、読んでいて面白い。

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2010.05.14 Fri
『会津と長州、幕末維新の光と闇』の後のせいか、やや物足りなく感じた。
具体的に筆者が経験した会津と長州の関係を回復する活動について
書かれていたことは興味深かった。

会津についての話なので当たり前と言えば当たり前だけれど
新選組についての記述はあやふやに感じることが多く、
小説などフィクション要素が多くて真実味には欠けるのがやや残念。

殴られた方は痛みを覚えている。
殴った方にとっては大した印象もなく覚えていない。
これは”よくある”話であろう。
歴史を勉強すればするほど、教科書で学んだことと真実の遠さを感じる。
全て事細かに教科書に記すことが出来ないのは兎も角としても
故意に一方から見た事実のみを記す事は頂けない。
しかしそれがまかり通っているのが現在の『日本の歴史』だ。


特定アジアとの歴史すり合わせが悪いことだとは言わないが
まず日本国内の話をまとめるのが先決ではないのか。
明治から日本の政治はおかしくなってきていると常々思ってきたが
改めてそう思う。

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2010.05.05 Wed
予想したより随分砕けた内容。
『徹底解説』というほどの内容ではない。
が、ひとつの武器について1~2ページで簡潔にまとめられており
その点では読みやすい。

豆知識として、この武器はこんなゲームや映画、小説に出てきます
というのがあるのは良いのだけれど
多少偏っている感じがするのと、
”思われる”と特に作者側に確認を取ったわけではなく
筆者が似ていると思っているだけのことを書いている様子なのが気になる。

西洋神話、北欧・ケルト神話、東洋、日本、史実の武器に項目をわけて
記述されており、巻末に索引もある点で
見やすい本であると思う。

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2010.05.05 Wed
第35話「この国のかたち」から第38話「バズクールの激闘」

原作からぶれておらず、うまいまとめ方。
特に、ヨキがどういう人か、というのを説明する部分には笑った。
今まで一切描かないままここまで来ており、
このまま説明しない気かと思った。

遅きに失したと思わないでもないし
アニメのみの人にどこまで伝わるかは兎も角として
原作を知っている人間には伝わったのでは。
尺を取りすぎな気はするが、さらっとアームストロング家を出し
救済しているところに好感触。

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2010.05.05 Wed
吉田 敦彦
青土社
発売日:1999-05

もう少し、『何故水なのか』というところが知りたかった気がするが
様々な国の様々な神話・御伽噺を例にひき
解説が加えられて興味深い。

水以前に、神話は何故こうも残酷で、突飛で
性的な話が多いのだろう。
非常に不思議。

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2010.05.05 Wed
ノックス先生のエピソードが短いながらも入れてくれているのは良かったけれど
ならばイシュヴァールのエピソードの中で語って欲しかった。
グラマンにマスタングが連絡を取ろうとするシーンは
原作では興奮したものだけれど、どうもいまひとつ。

オリヴィエの登場は中々良かった。
迫力が感じられて良い。
個人的にマイルズの声が好きな声優さんだったのでちょっと嬉しかった。

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2010.05.05 Wed
2クールのラストが良い感じで終わっただけに、3クールの第一話である27話で
回想を差し挟まれるのは、個人的には余計なお世話。
おさらい的に入れたい気持ちも分かるけれど。
原作を丁寧に追うつもりなら、1カットですら時間が惜しいはずなのに
わざわざ、ホーエンハイムが語るという体裁を取っているにしても無駄なのでは。
ホーエンハイムの人となりを今まで語れなかったことへの穴埋めなのだろうか。
脚本が間に合わない駄アニメでよくある無駄な回想。
DVDだからまだ許せるが、放送でリアルタイムで見ていたなら
一週待った結果がこれで、またもう一週待たねばならないのは苦痛。

エドたちが飲まれてアルが取り残されて感じた孤独も
回想を挟んでしまったせいで台無し。
エドに会えて崩れ落ちるアルを見て、そういえば、という感じ。
「大人になったね、にいさん」
「将を射んとすれば将を射っちまえばいいじゃないか、ずどんと」
辺りの笑いがカットされて突然シリアス一辺倒なのも、残念。

賛否両論の第30話。
やはり確かに、短すぎる。
原作で1巻丸まる使ったエピソードだ。
取材に取材を重ね、それでも削ぎ落としたエピソードがあったに違いない。
十二分に推敲された原作を、たった30分で描くのは無理があった。
2、3話かけてやるかスタッフも迷ったという話を聞いたが、やはりそうすべきだったのでは。
また、ホークアイが『狙撃兵と錬金術師だけ』と括る台詞には無理があったし
他の戦争に関わる人たちにとても失礼に感じた。
そういった作者のエゴが見えないところが、原作のあの迫力を生んだと思うのだが。

全く端折らずに原作を忠実にアニメ化するのは当然不可能で、なにもそこまで求めてはいない。
ただ、ここを削ったり変えたりしてしまっては原作の一貫性が薄れてしまう
という重要なところがあるはず。

そのひとつがイシュヴァールのエピソード。
特に、ロウがブラッドレイの元へ行くときのあの前後のエピソードは重要では。
不条理な上官、内心では戦いたくないが、命令に忠実であろうとする軍人たち
ロウを行かそうとするが、それは感情に任せただけのものではなく。
また、この先特定の宗教に入るとしてもイシュヴァラの神だけは信仰しない
という台詞も、宗教戦争の中でのブラッドレイの非情さが強調されて良かったのだが。

拍手

2010.05.05 Wed
リンたちの戦いのシーンは非常に良かったけれど、
非公式でもつながりが出来て良かったというマスタングとリンの台詞と
マスタングがノックスに多数決になったときの為にいてくれという台詞が
好きだったのにカットされていたのが個人的に残念。

ホムンクルスとの戦闘シーンでは
このまま退散すると、原作にある大佐の内心の機微や活躍が書かれていない以上
どうも大佐の恰好良さが伝わらない気がする。
どちらかというと真逆の、情けない印象。
やはりどうにも、原作のマスタングたちの大人としての魅力が描ききれていない。

セリムが作文を読む演出は面白かったと思う。
この調子だと出番が少ないまま正体がばらされることになりそうなので
いたいけな賢い養子、しつけをきちんとしようとする母、優しく大らかな父
それらが表現されていて良い。

グラトニーの腹の中は、アニメなだけに
暗闇と血ばかりの世界を彷徨う姿が恐怖感を煽る。
真理の扉の前でのエドも恰好良かった。

拍手

2010.05.04 Tue
アニメになって動いている分、迫力はある程度あるので
ラストとの戦闘シーンは良かった。
が、マスタングとラストの、敵同士だけれど認め合っている感が
一切描かれていないのが残念至極。
端折りすぎて浅い、としか、ここも言えない。

原作では主人公が出てこないまま何話も進むことがあったが
アニメではそれがないようにした、とのことだが
それが逆に、無理矢理にエドを出すために脚本を調整していて
他のキャラが深く描けていない一因なのではと思ってしまう。
鋼は、主人公のエド&アルは勿論のこと
全ての登場人物たちがそれぞれに魅力があり、それが描き込まれているところが
面白さのひとつなのに、このアニメはそれが見えてこない。

大体、ホーエンハイムはいい人なのか悪い人なのか
この辺りではまだ読みきれない人として描かれるべきなのに
今まで描かれたエピソードが碌に無く、回想シーンで少し出てくる程度では
彼がどんな言動を取っていてどうエドやアルに思われていたのか
家を出て一体何をしていて、何をしようとしているのか
全く伝わってこない。

ばっちゃんの骨盤だの解説する台詞はわかりやすくて良かったが
エドがイズミに電話するとき、前置きの台詞が端折られていて、イズミが突然電話を切ることの
話の内容の衝撃や重みが伝わってこないように感じられる。
それだけに、イズミがホテルに電話してくれたこと、「ありがとう」の意味が軽く思える。

「にいさんの魂が」のあとの「これが精神?」
無くて残念。面白かっただけでなく、精神がこの世界観の中で何を表しているのか
理解しやすかったのに。

リンは恰好良かった。
スカーの兄のシーンも良かったと思う。

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2010.05.04 Tue
2クール早々にシンのメンバーが出てくるのは嬉しいことは嬉しい。
ただ、これは原作ファンだから思うことであって
アニメだけ見ていたらやや唐突ではないのだろうか。

個人的に宮野さんは好きだけれど、リンの声のイメージではなかった。

EDは1クールより好き。

マスタングに大人の色気を感じないのは何故だろう。
声優さんが変わったからというだけの問題ではないと思うのだが。
原作で、寝ずに身を削って第五研究所のことを調べているシーンは
大人として冷静ぶっている彼の必死な姿が
胸にぐっときたのだけれど、アニメではそれが感じられなかった。
やはりエピソードを端折りすぎて展開が早すぎるせいなのだろうか。
特にヒューズさんが田舎に帰ったという件のシーンは、何故変えたのだろう。
ホークアイの台詞もひっかかるし、お人よしと笑っているマスタングも気になる。
ロス少尉を捕まる前に活躍させて印象づけたかったのかもしれないが
原作の新聞で一度に事実を知る展開が素晴らしかっただけに残念。

そしてまた、砂漠での再会のエピソードも早すぎて、
ついこの前のマスタングの画策もただの種明かしのように浅く見える。
原作では再会まで長かったし、事実を知ったときは感動で叫んだものだが。

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2010.05.04 Tue
この巻で1クール終了。

端折らなければならないのはわかるのだが、パニーニャとのやりとりがほぼカットは兎も角
いきなりドミニクさんが出てくるのはどうなのだろう。
犯罪者を匿っていることになるけれど…?

原作に沿った作りにする、というのがこのアニメのうりでもあったと思うけれど
多少の話の入れ替えは理解させる為にも仕方ないが
いくら流れにそっていても、カットし過ぎて中身が軽くなってしまうなら
変更と同じく原作の良さを削ぐ改悪になりかねない。

大好きなキャラのイズミの声が、大好きな津田さんのままだったことは一安心。
ただ、一は全、全は一のエピソードが詰め込みすぎた余り
端折りすぎていて、修行の厳しさや重さが中々伝わってこない。

デビルズネストのみなさんも、出番が少なく残念。
グリードの、敵なのにどこか憎めない部分はこれで伝わるのだろうか。
後々リンとのエピソードを考えると、重要な部分のはずなのだが。

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2010.05.04 Tue
漫画で笑えるシーンも、そのままアニメにしてしまうと
リアリティの無さが際立ちすぎて逆に笑えない。

ヒューズさんには思わず見入ってしまった。
藤原さんの演技力の為せる技というところか。
グレイシアさんは三石さんの声で聞きたかった。

三木さんも好きな声優さんではあるけれど
大川さんの声で聞きたかったなとどうしても比較してしまう。

第一期のアニメでヒューズさんがこうなってしまったときは衝撃だったのに
10話でこんな展開にされてしまうと、この二期のアニメのみ見ている人に
果たして伝わるのだろうかと思ってしまう。
そのもったいなさを補う為に今際の言葉を言わせたのかもしれないが、少々興醒め。
原作もそうだが、それがないのが非情さが際立って良かったのに。
葬儀のシーンからそのままエンディングにいってしまい
理解が追いついていないのに現実はどんどん流れていく
といった感じがとても良かった前回の演出と比べると
ただ原作の流れを無理矢理継ぎ接ぎして追っているようで残念。

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2010.05.04 Tue
2003年版でもやったエピソードたちな上に
駆け足感が目立つ。
このペースでアニメ化していっては、結局原作が完結する前に
最後のほうまできてしまい、またアニメオリジナルのラストを用意するとしたら
2003年版をわざわざやり直す意味がないと思う。

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2010.05.04 Tue
第一期と言えば良いのか。2003年のアニメ版に賛成派の自分としては
声優陣も入れ替わり(特にマスタングの変更に違和感を拭い切れない)
2003年版でもやったエピソードをやり直すあたりに
疑問を禁じえない。

ただこのアニメ単体として見た場合、現時点で25巻まであるコミックを
読んでいる人、読んでいない人もうまくこの世界観に導入する為に
1話にアニメのオリジナルキャラを投入したのはうまいやり方かと感じた。

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2010.05.03 Mon
庵野秀明
キングレコード
発売日:2003-07-24

実はこれが初見。
流行っていた当時見そびれて、あまりに流行っていたので
どうもそのまま、見ないでここまできてしまった。

ネタとして様々なところで目にしている名シーンや名台詞。
1~4話までの間でも、いくつかそれを目にした。
この4話だけでも一定の起承転結が見られる。
今のところ、正直に言えば
『何故あそこまで流行ったのかわからない』
が、それでも面白いと感じることは事実。
いつの間にか引き込まれてしまう。

間の取り方やカット割に、庵野節を感じる。

まだまだ序盤ということを考えると、この先の展開に期待。

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2010.05.01 Sat
ウォシャウスキー兄弟
ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2009-11-03

スタイリッシュさ、ワイヤーアクションやジャパニメーション的なカット割、
ストーリー展開等で知られているが
その実非常によく出来た映画であると思う。
惹きつけられる魅力も持っているし
マトリックスの世界観は問題提起も為してくれる。

人の体というのは電気信号で成り立っており
脳に電極をつないで電流を流すことで五感を誤作動させることが出来る。
ならば、実際にこのような世界もありえないことではない。
そこが怖くもあり、もし自分がこんな世界にほうりこまれたなら
一体どういった行動を取るだろうかと考え込んでしまう。

真実を知ることは辛くもあり、
知らない方が良かったと考える人間が出てきてもおかしくはない。

そしてまた人間というのはどうしようもない生き物である
ということに同意。
スミスの言う
『哺乳動物は本能的に周囲の環境と均衡を保っている。
人間はある場所で繁殖を始めると資源を使い切るまで繁殖をやめない。
生き延びるには繁殖場所を広げるしかない。
そんな人類と似ている有機体はウイルスである。』
という言葉は、全く持ってその通りだと思う。
そんなウイルスを捕獲して管理しているエージェントたちが
果たして悪だと言い切れるのか。

非常に印象深い台詞だ。

続編はあるが、これ単体を見ても十分独立して面白く見られるところもまた
痛快で良い。

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2010.05.01 Sat
長尾直樹
VAP,INC(VAP)(D)
発売日:2007-10-03

小説が非常に好きだったので、機会があったらいつか見てみようとずっと思っていた。
読んだときに、確かに常識に照らし合わせて
酷いなと思うところはあるのだけれど、
主人公が実家で喫茶店を開いて、父の作ったモザイクが壁一面に貼られているのを
想像したらとてもあたたかい気持ちになった。
人の儚い思い、神様すら羨むような輝き。
素敵な言葉だと思った。

しかし、それらの本を読んだとき感じたあたたかさは
この映画からは感じられなかった。
鈴木京香さんをはじめ、役者陣は素敵だったと思う。
文字だけで連ねていると曖昧になる非常識さも
映像でリアルに再現してしまうと、歪さばかりが目立つのも
ある程度仕方ないことかもしれない。

わざわざメディアミックスをするのならば
映像にするなら映像でしか出来ないことを、と思うのは良いのだけれど
そこに固執し過ぎて前衛芸術化するくらいなら
原作に忠実に映画化して欲しい。
見ていて、「こんな話だったっけ?」
と首を傾げてしまうことばかりで残念。

また、未成年なのに飲酒・喫煙したり
不倫など下世話な描写が目立ったが
子供が仕返しに来るシーンは特に不愉快だった。
結果ただの放火で立派な犯罪だし
花火が当たって驚き、火が燃え広がって怖がる鶏たちが可哀想。
CG合成なら良いのだが、さてどう撮影したものか。

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2010.05.01 Sat
岩瀬再会からギャグにシフトした漫画の連載、服部さんの画策の辺りまで収録されている。
本誌で読みそびれていた回もあったので
話がつながってありがたい。
が、話が繋がって尚許せない人がひとり。
皆さんのあげている中井さんも、モテない癖に調子乗り男の典型でうざいのだけど
私的に許せないのは亜豆。

見吉の親友だからといって亜豆のあの態度はあまりに無いだろうと思う。
仕事の邪魔をしたくないという割に冷静に話を聞かない見吉だけれど
彼女は当事者なのでそれくらい冷静になれなくても
まぁ当然じゃないかという気がする。
寧ろ親友だからこそ、修復出来る内容なのか冷静に聞いて判断してあげるべきなのに
亜豆はあまりに感情的になり過ぎているし
別に同僚が仕事のことで会社以外の場所で話し合ったって構わないはず。
寧ろ当然だし、隠す必要はなくても報告する必要はない。
「隠し事をしている」とサイコーを批難しているのを見て
入院中の凛とした亜豆が好きだったのに幻滅。

見吉は最終的にきちんとシュージンの話を聞いたし
自分の誤解もあったと認めて
蒼樹さんとのやりとりを続けていいと言ったあたり好印象。
いい女だと思う。
蒼樹さんは前巻に引き続きキャラが見えてきて
器用そうに見えて不器用なところが可愛い。
福田さんとのやりとりのあたりも、とても可愛らしい。
対して岩瀬は随分子供じみていて、この人の書いた文学小説が面白いとはちょっと思えない。
シュージンはなんだかんだ言っても要所要所ポイントははずさず
見吉のことをちゃんと好きでいるあたりが良い。

本当に福田組がいてジャンプに連載していたら
『ジャンプを変える』ことも夢ではなさそうで
想像するだけでもわくわくする。
人気漫画のボイコットに続き、
仲間としての連携、ライバルとしての戦いがあり
急激に面白くなっていく漫画、
人気作家が一誌にふたつの漫画を連載など
実際にあったらついジャンプを買ってしまいそう。

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