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ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
2024.05.20 Mon
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2009.08.16 Sun


テレビでやっていたので見てみた。
映画の予告を見た時点で、どうせこんな内容だろうと予測はしていたが
あまりにも予想通り。
不条理で暴力的な上官。
反発する部下。
戦争に行きたくも無いのに出兵させられる兵士。
取り残され涙に暮れる家族。


確かに、外国人が撮った日本人にしては
無意味な漢字の羅列
何故か流暢に英語で話す
日本人のはずなのにアジアまたは日系人なだけ
という不自然さは少なかった。
が、少なかったというだけの話だ。
世間の評価が高いことに非常な疑問を覚える。

着物の着方や言葉遣いなどの不自然な点は
百歩譲るとしてもだ。
伝えたい事が、戦争は悲惨だということだけなら
フィクションで十分だ。
わざわざ硫黄島を持ち出し
更には栗林閣下やバロン西まで出しておいて
この内容はどうなのだろう。
下調べや時代考証が不十分だとしか言いようが無い。
手榴弾の火薬の不自然な点
硫黄島においての戦略の不自然な点
夜通し国旗を掲げていたのかという点
等等、少し検索すれば、フィクション故仕方ないというより
事実歪曲に近い点が多々ある。


たとえば、

脱走しようとした腰抜けの部下が許せず、
上官の私情で自らその場で背中から射殺した。

というのと

当時脱走兵は戸籍に『非国民』と書かれ、
家族も大変辛い目に遭う。
脱走したところで敵兵に殺され、家族が汚名を着せられて苦しむくらいなら、
戦死したと告げた方が家族の為になるだろう
と泣く泣く逃げ出そうとする部下を撃った。

というのでは大分異なると思うのだが
後者だと受け取るには当時の状況や心境などを
きちんと理解していないと無理だろう。

これが単なる洋画であるなら、
まぁマシな方だよね、で済むが、
日本人の役者があれだけ出演していてこれはどうなのか。
先ほども書いたが、実在の人物と架空の人物を絡める手法はありがちだが
あまりに実在の人物を軽んじているようにしか思えなかった。
栗林閣下など、ただのフランクな親父にしか見えない。
如何に素晴らしい方だったか、本を立ち読みした方がよほど理解出来る。

ネット上でこの映画の評価を見ていて
あまりに高評価な意見が多くて空恐ろしい。
二宮君のファンで、二宮君がかっこよかったから
というのはまだ良いが
「戦争って怖い、ひどい」
という人の多くは、これをきっかけに史実を調べなおす
ということをしないのではないかと危惧する。
逆に低い評価をつけていた人たちは、少なからず史実に対しての知識があるようだった。

戦場が悲惨なのは当たり前だ。
というのは、ある戦場カメラマンの名言だが
人が殺しあっている状況は悲惨で当然だ。
だが戦争と戦場は違うものであり、戦争が何故起きたか
ということが重要なのである。
何故我々の祖先が、小さな硫黄島を死守せねばならなかったのか
アメリカが5日で落とせると思った島を36日間持ち堪えたその理由
それを知って欲しい。
そうすれば、
「悲惨だった。よくないとおもった」
では終わらないはずだ。

人殺しが良いことではないのは当然だ。
だが、戦場ではそれが英雄になる。
それを後世の人間が事情も知らず、しかも一方だけを
悪人と決め付けるなど、東京裁判もいいところの行為を
彼らに祖国を守ってもらった子孫である我々がするのは可笑しい。

「侍魂を美化しない珍しく素晴らしい映画」
というコメントも見たが
どう読んでも、侍魂=死ぬ事と捉えてコメントしているようだった。
確かに『武士とは死ぬ事と見つけたり』とは
葉隠れを知らない人でも聞いたことはあるほどの有名な言葉だが
これはけしてあっさり死んで逃げたり、進んで勝ち目の無い戦いに飛び込んで死んだりすることではない。
認識不足過ぎると思った。

日本国民がこのような状態では、武士も兵士も
この国の為に戦って亡くなった人々は浮かばれまい。

少なくともこの映画には、
硫黄島も手紙も栗林閣下もバロン西も
欠片も真実と呼ばれるようなものは描かれていなかった。
それを認識し、どうか一人でも多くの人が事実を調べ
学んで考えてくれることを望む。

 

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