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ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
2024.11.22 Fri
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2009.06.05 Fri

ある作家さんのサイトの日記を、本にまとめたものを読んでいた。
この作家さんは好きだなんだけど一年分一気に読むせいか
『忙しい』という言葉が物凄い頻度で出てきて気になった。

別に、それが嘘だとは思ってないし
私自身も忙しいと言ってしまうけど
時々、「それって本当に忙しいのか?」と疑問に思う。
忙しい気分になってるだけじゃないのだろうか。
本当に忙しいならとても深刻な問題で、省みて原因を取り除くべきだ。

と冷静に振り返ると、自分なんて滅茶苦茶暇人だなーと思う。
忙しいと勘違いしちゃうほど自分のキャパが狭いというだけの話で。
要領が悪いだけのことで。

時々、ただの自慢として忙しいと連呼する人がいるけど
忙しい=勤勉=偉い という図式が
割と浸透している社会も問題だと思う。


忙しくて、会いたい人に会えない
やりたいことが出来ない
なんてことを自分がやったり人がやってるのを見たりしていると
すごく思う。本当に忙しいのか?
そんなに大切なことを犠牲にしてまでやらなきゃいけないことって本当の本当にあるのか?
大丈夫?


ってなことを考え出すと必ず思い出すのが、
ミヒャエル・エンデ氏の『モモ』という小説。

モモという女の子の周りの人たちの中で
私が一番好きなのがジジという男の人。
ガンダムのカイさんとか、ハチクロの森田さんみたいな
(そうか?)恰好良い人で。
よく即興で物語を作ってモモに聞かせてくれるんだ。

時間というのは一本の美しい花で
一時間ごとに咲き、散っていく。
二度と同じ花は咲かないし、人それぞれ違う花。

灰色の男たちという、人の時間を奪って生きる人がいて
その人たちは人々を急き立てて、
余った時間を取って、その時間を殺す。
花を殺して乾かし、葉巻にして吸うことで摂取する。
人々はどんどん自分の時間がなくなってしまう。

それでモモの友達たちは急にみんな忙しくなって
ジジは売れっ子の作家になってしまい
原稿をせかされ、スケジュールもいっぱいで
なんとかモモが会おうと努力しても数分だけ。
それがジジ自身寂しくて、モモとゆっくり会いたいのだけど
どうしても時間がなくて、
昔みたいにのんびりと、話が出来たらいいのに
と悲しそうに言う。

ジジにとって、モモは大切で
物語を作ることも大好きで大切で
両方大切にしたいのに、忙しくなったら
両方とも大切にできなくなっちゃって。

ジジが悪いだけじゃない。
この物語は児童文学だから、悪いのは灰色の男たち、なんだけど。
現実社会の『灰色の男たち』って誰だろう?


エンデさんの話は、児童文学だけど誤魔化しや嘘がなくて
大人でも、大人だからこそ考えさせられるものばかりだと思う。
忙しく過ごして切り捨てた時間は
殺された時間なんだというのはとてもリアルだ。


物語の中では、灰色の男たちから時間を取り返すと
昔みたいなゆるやかな時間が戻ってきて
みんな、大切な人と会う時間がもてるようになるんだけど。

現実にはモモみたいな強くて可愛い女の子が
知らない内に勝手に私たちを救ってくれるなんてことは
多分きっと無い。

忙しいと思い込んで、
灰色の男たちに付け入られる隙を作ってないか。
時間はとても美しく、儚く
一瞬ごとに死んで元に戻らず
一瞬ごとに新しく生まれていく
本当に、一時間ごとに咲いて散っていく美しい花のようなものなんだってこと、
忘れてやしないか?

自問する。
恥ずかしながら、忘れがちだよなと思う。

焦ることとてきぱきやることは違うし
怠けることとゆっくりやることは違う。

…違うんだけどな。


忘れないでいたいなぁ。

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