ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
2009.02.14 Sat
演劇集団キャラメルボックスで舞台化されるというので
興味を持って読んでみた。
結果から言うと、とても面白かった。
正直、作者の別作品は納得がいかない部分が多すぎる。
のは、自分が女だからかもしれないが
SFに女は興味がない、SF好きは変わり者
といった偏見を常識として前提に書かれているのが
どうにもひっかかってしまう。
しかしこの作品は、そういったひっかかりが比較的少なかった。
シンプルで読みやすい作品。
以降ネタバレ。
タイムトラベル物だと思いながら読んでいたので
こうきたか、という印象。
滝水が冬の山にコーヒーを詰め込んだリュックを背負って
入山するのが理由付けが薄いし
無事遭難出来たはいいが、その先どうやって暮らしていくのか。
住民票は。保険証は。法的にきちんと結婚が出来る訳でもなく
長者原に事情を話して理解してもらって仕事を回してもらう以外
まともな仕事が出来るとも思えない。
のだが、まぁいいやと思わせる力がある。
運命的な出会い、確信、手紙のやりとり。
そこに育まれる物は、まやかしではない。
その一途さに胸を打たれ、微笑ましく思い、共感する。
多少のおかしな点や、展開が安易過ぎることも
全てそれで許される。
ところで、通常
『滝水は』と書かれていた文章だが、最初の一度だけ
『浩一』となっていた。
これが実は伏線か? と思ったのは考えすぎだったようだ。
単にミスなのか? 若干の疑問が残る。
PR
*Comment*