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ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
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2009.03.19 Thu
Samsara 永遠性の自覚


昨日、面白い小説を読んだ。
ミステリとしては、謎は弱かったかもしれないが
すごく完成されていて、ストーリーが兎に角深い。
人の汚さ、強さ、美しさが余すところ無く緻密に描かれて、突き刺さった。

タイトルは、その本の中で語られていた台詞で。
「芸術には進歩が無い」という意味ではないのだ。
たとえば科学みたいなものは、先代から引き継がれたものがあって
技術や数学の公式や定理やなんかがあって
それを土台に先へ進んで、積み上げていくことが出来る。
けれど芸術は、たとえば絵を描くにしろ、PCで描くとか画材が増えたとか
出来た物をスキャンしてメールで送るとか
そういったことの進化はあって
環境の進化(変化)に影響されることがあっても、
芸術それ自体は作家の想像力に頼らざるを得ないのだと。
いつだって全力疾走で、裸一貫で一対一で向き合って作ることは
遠く猿人の時代から今に至るまで何一つ進化していないのだと。

なんだか、納得した。
確かにそうだ。
だからこそ創るということが、好きなのかもしれない。
生身の体でぶつかる潔さ、馬鹿さ。その真っ直ぐさ。

だからこそ、
「僕たちの作る曲は、涙だよね」
なんて言葉がしっくりくるのだと。


今頃くるちゃんも、苦笑いしているんじゃないのかな。
何度でも立ち上がる自分を。
どんなに辛い思いをしても、結局は音楽が好きな自分を。
まるで輪廻のように、ぐるぐる同じところを
永遠に回っているようで、それ自体が生きるということの
無駄であり美しさであり

なにやってんだよ、俺。
なんで懲りねーんだよ。

結局、好きだから。
創らずには生きていけないから。
これが"生きる"ということだから。

所詮それだけの。
永遠に続くひとつのエゴなだけの。


私が中学生だった頃、
ネアンデルタールが進化してクロマニョンになったと習ったけれど
今の学説では、それぞれ別の種族で、ネアンデルタールが滅んだのだ
というのが主流だそうだ。
ネアンデルタールとクロマニョンの違いは、
狩猟だけでなく農耕をしたこと。
そして、絵を描いたこと。

ひとはキャンバスを前に、画材を手にし
己の想像力を働かせて、思いの丈をそこに書き付ける。
岩に文字を刻んだり
モニターにペンタブレットで描いたり
そのやり方が違っても。
身を削って、命を賭して、今日も描き続ける。
己を焼き付ける真剣勝負だということに
未来永劫変わりはないのだ。

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