ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
2010.03.03 Wed
もう一年以上前のことになるだろうか。
彼女に本を贈った。
ミヒャエル・エンデの『モモ』。
灰色の男たちに奪われた人々の時間を
ひとりの少女が助け出すというお話。
『はてしない物語』の次に読んだのが『モモ』で。
私にとってはとても大切な本だった。
だから彼女にあげたいと思った。
言葉にするなら、
「忙しいって心を亡くすって書くんだよ」
とか、陳腐な使い古されたフレーズになってしまうから
「忙しい」を連発して、「だから何も出来ない」と追いこんでいた君に
私があげられるものはこれかなと思った。
読んでくれたんだろうか。
伝わったのかな。
*
私はモモほど純粋ではないし
ベッポのように男たちに抵抗も出来ない気がする。
だけどジジのように、忙しくても友を忘れず、会えたら笑顔になれたらいいなと思う。
***
そう言えば以前電車の中で、若い男の人がモモを読んでいたのだけど
それがほぼ正方形に近い、オレンジ色で
エンボスでモモと表紙にあるお洒落な本で。
実家に全部本は置いてきてしまっているから
どうせ買い直すなら、持ってるのと違うやつで
こういうお洒落なのがいいなぁ
などと思ったことを思い出し
携帯で密林さんを検索。
よくわからないけど違ってもまぁいいや、と
愛蔵版とやらをぽちっと。
携帯のEdyで支払い完了。
うーん、便利。
こんなに便利な世の中なのに、忙しいのは何故なのかと。
一昔前になら何日も何カ月もかけて旅した場所へ
新幹線や飛行機でひょいっと行けちゃう時代なのに
どんどん忙しくなるのは何故なのか?
無いのは時間ではなくて、余裕なのだと思う。
時間は伸び縮みするものなのだし。
こんにちはって言うとか。
そうしたら、こんにちはって返すとか。
本を読もうとか、友達に連絡を取ろうと思うとか
ありがとうって言うとか。
やりたいことをやるとか。
そういう気持ちの余裕。
余裕を持つにはお金の余裕も必要だったりするので
働くこともやっぱり大事なんだけども
人はパンが無ければ生きられないけど
パンだけで生きていくものではないから。
クロマニヨンとネアンデルタールの違いが絵を描いたこと
だとしたら
人として、なにげないことが
生きることに絶対不可欠には見えないことこそが
必要なんだと思う。
密林さんから本が届いたら、早速読み直して
時間の花のこと、思い出そうとおもいます。
限られた時間と
前に進む力と。
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