ふと思いついては消えていく戯れ言の中にも大事なことや本気なことはあるよな、と思い極力書き留めよう、という、日々いろんなことに対する思いを綴っています。
2007.09.13 Thu
以前クレタ島へ赴いたときのエッセーが面白かったので、読んでみた。
色々な雑誌等の短いエッセーの寄せ集めなので、通して読んでいると
内容がだぶっているところもあるのがやや気になる。
謙遜?されている文章では大丈夫ですから、わかってますから、と思いながら読み進めた。
今まで疑問だった取材方法について、アニメーターとしての名刺を使用して
取材をしたというのは納得だった。
それでも許可がおりない場合、忍び込んだりもしたというのがすごい。
確かスピルバーグも、詐欺まがいの方法で入り込みコネを作ったと記憶している。
自分の作品のための執念というか、真剣さを感じた。
また、アニメーターという前歴があるからこそ、小説だけでなくアニメや映画が素直に見られない
というのにも納得してしまった。
確かに同業者として、感嘆することもあれば疑問に思うこともあるだろう。
これだけ原作をいじって違うものにしてしまうことを嫌っている著者だが
ホワイトアウトについてはどうだったのだろう。
脚本も名前だけでなくかなりきっちり関わっていることがうかがえるエッセーではあったが
個人的には富樫の苦悩を描いた割りに、後半から物語が軽くなっているのが
真保さんは不本意だったのではないだろうかと思っていたのだが、エンターテイメントして
ありえないことでも面白さをとって実現させたのか、どうなのだろう…。
一読者としては、緻密さに惚れたのにそれが台無しだったのが不快だが
一ファンとしては、原作者がそれで良いと本当に思ってやったのならよかったと思う。
読切小説が一編書き下ろしで入っていた。エッセーだけでは、と書いてあったけれど
エッセーだけで十分読み応えがあるのに…。
真保さんにしては珍しく、ストレートで救われない話かと思ったら
やはりラストにどんでん返しがあった。
流石だと思う。
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