たとえ話。

某劇団に所属する私。
尊敬する演出家の舞台に出演する為に日々練習を重ねていた。
客演をしたことは何度もあるけれど
うちの劇団員と一緒に出ただけで
自分ひとりが呼んでもらえたことは一度もない。
それでも、自分の演技力が向上すれば呼んでもらえるのでは
と日々努力をして、実際多少なりとも成長したはず。
でも相変わらず呼んでもらえることもなく
挙句仲間の劇団員は、あの演出家の舞台にはもう出るつもりはない
と言い出した。
彼女らのおこぼれで出演できていた自分は
きっとこれ以上頑張ったところで、誰かの付属物としてしか
演出家の目に留まることはないのだろうか。

舞台に立つことが大事だった。
誰の目にもとまらないところで、芝居をしても仕方ない。
舞台の為にしていただけで、発声練習が何より好きで
楽しい、というわけでもない。
芝居をすることは楽しいけれど、
ひとりで誰の目にも留まらず演じるのは何かが違う。
たとえ『ひとり芝居』であっても、
観客がいるからこそ芝居であって
誰も見ている人がいないのは、自分の好きな芝居とイコールなのか？

今後二度と舞台に立てないのなら
芝居は好きだからやめることはないにしろ
優先順位や頻度、練習の中身は変わってきてしまうように思う。
けど芝居をやめたら、そこで出会った仲間とも
もう会う機会がなくなってしまうんだろか。
芝居をしない自分個人に、仲間だと思ってもらえる価値は
もうないんだろうか。
芝居が好きな気持ちは変わらないのに
自分が目指してきたものってなんだった？
舞台に立って仲間と最高の芝居を作り上げて
それを見てもらうことじゃなかったのか…？

　　　　　　　***

嫌なことと悲しいことがいくつもあった日曜日。
優先順位と人間関係について考えさせられた。
どうしてうまくいかないのだろう。
終わって欲しくないものが終わってしまったり
会いたい人に会えなかったり

何も楽しいことのなかった週末だったな。
楽しかった気も休んだ気もしないまま
月曜日。
生憎の、ある意味今の気分にぴったりの雨。

雨降って地固まる
…という訳にはいかないんだよな。